[6.29 W杯決勝T1回戦 日本 1-2 ブラジル ヒューストン]

 スーパーゴールを勝利に結びつけることはできなかった。日本代表MF佐野海舟(マインツ)は前半29分に自身の代表初ゴールを沈めたが、後半の2失点で逆転負け。「本当に悔しい。悔しいしかない」と言葉少なく振り返った。

 自身の代名詞である“回収”を大舞台で見せつけた。「自分の理想の形で奪った後に運んで、というのはできた」。そう語る佐野は前半29分、DFダニーロのパスをインターセプト。そのままドリブルで前進を始めると、PA手前から右足シュートを放ち、ゴール左隅に決め切った。

 しかし、「それが結果につながらなかった」。後半から攻撃の形を変えたブラジルはクロスを日本のPA内に何度も入れてきた。

 後半11分、PA手前のDFガブリエル・マガリャンイスから左足の浮き球パスが入り、MFカゼミーロに同点ゴールを決められる。さらに後半アディショナルタイム6分過ぎ、MFブルーノ・ギマランイスのパスからFWガブリエル・マルティネッリが逆転ゴールを沈めた。

 マガリャンイスとギマランイス、それぞれのアシストは自身の目の前から放たれた。佐野は自らに責任のベクトルを向け、「そこはもっとボールに強くいかないといけないし、ああいう一瞬の隙を止め切れないことが結果になった」と強調した。

 鹿島アントラーズでの台頭が認められ、2023年11月、第2次森保ジャパンでのアジア2次予選第1節・ミャンマー戦でA代表デビューを飾った。24年夏からマインツでさらなる成長を遂げ、W杯出場を決めた後に代表定着。現体制で最も欠かせない選手の一人にまで躍進した。

 後発で代表に加わったことで遠慮がちな一面もあったが、「一体感はすごくあった」と活動を振り返る。「みんながみんなのために、誰一人サボらず毎日積み上げてきた。それは崩してはいけない」。今大会はラウンド32で敗退し、試合後には涙を流した。それでも、佐野の意欲は尽きていない。

「その積み上げや、新しい課題や発見はしっかりチームとして積み上げていければ」。今大会は「1回目でわからないことだらけの雰囲気だった。本当に最後の気持ちでやっていた」と胸中を明かす。終えた今、心の奥底に芽生えているのは「まだまだやれた」という新たな決意だ。

「本当に攻撃も守備もできるような選手にならなきゃいけない。でも、自分の持ち味はやっぱり守備。その守備を高めていくことと、攻撃でできる幅を増やしていきながら、ゴールにつながるプレーをたくさんできる必要がある」。ブラジル戦スーパーゴールの感触を忘れずに、4年後の舞台を見据えた。

(取材・文 石川祐介)