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 ブタの腎臓を腎不全患者に移植する国内初の「異種移植」の治験が、北海道大病院(札幌市)と湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)で2028年にも実施される計画であることが分かった。

 治験は明治大発新興企業「ポル・メド・テック」(川崎市)が行い、拒絶反応を起こしにくくした遺伝子改変ブタを使う。実用化できれば、臓器提供者(ドナー)の不足解消の助けになると期待されている。

 同社によると、治験対象は人工透析や移植が必要な慢性腎不全の患者で、心臓病などの重い合併症がない主に60歳代の数人に行う。北海道大病院と湘南鎌倉総合病院には異種移植に詳しい腎不全治療の専門家がおり、実施機関に選ばれた。

 異種移植は、人の腎臓を移植するまでの「つなぎ」として有望視される。ドナーが見つかれば摘出するが、それまでブタの腎臓を機能させ、透析がいらない期間を可能な限り長くする。

 移植には、拒絶反応を起こしにくくし、ブタ由来のウイルスが感染しないよう69か所の遺伝子を改変したブタの臓器を使う。同社は米バイオ企業「イージェネシス」が開発した遺伝子改変ブタの細胞を輸入し、国内で細胞の核を卵子に注入。メスのブタの子宮に移植し、遺伝子改変ブタのクローンを誕生させる。

 生まれたブタは外部の病原体に触れない環境で7〜12か月間飼育された後、腎臓を摘出する専用施設に運ばれ、すぐに移植される。一連の作業は、安全対策を定めた国の指針に基づいて行われる。

 ポル・メド・テック社は、透析が半年以上不要になるかなどの項目を確認し、安全性や有効性を評価する。同社は問題がなければ、厚生労働省に製造販売の承認申請を行い、30年に早期の承認を目指すという。

 日本臓器移植ネットワークなどによると、腎臓移植を待つ人は国内で約1万4800人、米国で9万人以上いるが、移植するまでに亡くなる人もいる。ブタの臓器は形などが人に近く、異種移植は新たな治療の選択肢になる可能性がある。

 研究で先行する米国では昨年、イージェネシス社の遺伝子改変ブタの腎臓を患者に移植し、ドナーが見つかるまで約9か月間機能させることに成功した。高市政権も早期実用化を目指し、今月24日に示した新たな成長戦略の工程表案に異種移植を盛り込んだ。

 ポル・メド・テック社は実用化を見据え、27年までに異種移植用ブタの生産施設を2か所整備し、年100頭の供給体制を目指す。

透析期間短縮 負担軽く…拒絶反応や感染症 安全性の検証不可欠