記事のポイント2026年サッカーW杯の北米開催を前に、スポーツウエアブランド各社が過去最大級のマーケティング投資を進めている。ナイキは「Sports Offense」戦略のもと、著名ブランドやセレブとのコラボを通じてサッカー市場での存在感回復を図っている。アディダスはサッカー界のレジェンドや豊富な歴史資産を活用し、ノスタルジーを武器にファンとの結びつきを強化している。
サッカー・ワールドカップ北中米大会は、1994年以来の米国開催となる。これは、多くのスポーツウエア・アパレルブランドにとって巨大なチャンスを生み出している。ワールドカップにナイキ(Nike)とアディダス(Adidas)ほど多額の投資をしているブランドは、おそらくほかにないだろう。両社は多くの代表チームをスポンサードし、この大会にあわせた大規模なキャンペーンをいくつも展開してきた。Glossy Podcastでは、インターナショナル・レポーターのゾフィア・ズウィエグリンスカ氏が、受賞歴を持つライターであり、隔週ニュースレター「SportsVerse(スポーツバース)」の創刊者でもあるダニエル・ヤウ・ミラー氏に、この2大スポーツウエア企業とワールドカップ戦略について話を聞いた。

Subscribe: Apple Podcasts | Spotify

北米開催が引き出す巨大ブランドの本気

ミラー氏によれば、2026年のワールドカップが北米で開催されるという事実が、多くのブランドに本気を出す大義名分を与えているという。「これほどの規模のワールドカップは、ここ何年も見られなかった」とミラー氏は語る。「世界最大級の企業やブランドがこれを最大限に活用し、投資する価値を正当化するうえで、絶好の条件が整っている。これまでのカタール大会やロシア大会には、それぞれ独自の難しさがあった。多くの巨大企業の本拠地である場所で開催されるのは、久しぶりのことだ」。

ナイキ、サッカー部門の地盤回復へ

ナイキはすでに、ジャックムス(Jacquemus)、パレス(Palace)、ドレイク(Drake)など、ワールドカップに関連した多くの著名人やブランドとのコラボレーションを展開している。ミラー氏によれば、ナイキはCEOのエリオット・ヒル氏の指揮のもと、サッカー部門の巻き返しに取り組んできたという。「2024年、ナイキは『スポーツオフェンス(Sports Offense)』と呼ばれる戦略を打ち出した。これは5つの柱を軸にしたもので、そのうちのひとつがサッカーだ」とミラー氏は語る。「ワールドカップに向けて、同ブランドがどのようにマーケティング予算を投じてきたかを見れば、それが実を結んでいるのがわかる」。

アディダスの武器はノスタルジー

一方でアディダスには、ノスタルジーという強みがあるとミラー氏は言う。アディダスはサッカーともっとも強く結びついたブランドであり、ナイキが参入する以前から、長きにわたってこの競技を支配してきたからだ。「アディダス サンバ(Adidas Samba)」は数十年前から存在し、ワールドカップにちょうど間にあう形で、最近になって再ブームを迎えた。「アディダスには、デビッド・ベッカムや、90年代の数々のブラジル人スーパースター、アレッサンドロ・デル・ピエロのようなイタリアのレジェンドなど、非常に多くのレジェンドがいる」とミラー氏は語る。「そしてアディダスは、彼ら全員を自社の世界観のなかにとどめ、通常は現役選手のために用意されるようなエンドースメント契約のもとに置くことに成功している。だが、もっとも購買力を持っているのは、こうした選手たちを見て育った人々なのだ」。[原文:Who will win the World Cup battle between Nike and Adidas?]Danny Parisi(翻訳、編集:藏西隆介)