あの「ローバー」がホットハッチを作ってたってマジか! 残念ながら日本には導入されなかった「200 BRM」の魅力

この記事をまとめると
■かつてローバーがF1チームの名を冠した「200 BRM」を販売していた
■専用内外装と本格シャシー性能でホットハッチらしい仕立て
■現在も中古車は根強い人気を誇る希少モデルとなっている
ローバーが生んだ王道ホットハッチ
ホットハッチといえば、多くはドイツ車、あるいはイタリア・フランスといったラテン車のイメージが強く、イギリス車にそのイメージはあまりないかもしれない。だが、英国の誇る老舗メーカーのひとつであったローバーが、F1コンストラクター「BRM」の名を冠したホットハッチをかつて提案していた。
BRM(ブリティッシュ・レーシング・モーターズ)とは、1945年にレーシングドライバーのレイモンド・メイズとエンジニアのピーター・ブロンが設立した英国初の本格的F1コンストラクターだ。1962年にはグラハム・ヒルがドライバーズ選手権を獲得し、BRMはコンストラクターズ選手権もあわせて制覇した。しかし1972年のモナコGPでの勝利を最後に栄光は遠のき、1977年を最後にF1の舞台から姿を消した。
ローバーが「200 BRM」を発表したのは1999年のこと。つまり、BRMがF1から退いてすでに20年以上が経過していたわけだ。最後のF1優勝からは四半世紀が過ぎており、その全盛期はさらに一時代前のことだった。

外観はブリティッシュレーシンググリーンをボディカラーに採用し、マットシルバーのアクセントと、ロアグリルまわりを特徴的なオレンジカラーで塗装。BRMのレーシングカーが纏ったカラーリングへのオマージュとして、それを知る誰もがひと目で狙いを理解できるデザインだ。

一方でインテリアは、鮮やかな赤のキルティングレザーで埋め尽くされ、アルミパーツが所々にあしらわれるド派手な仕上げ。若干トゥーマッチな気があり、当時も賛否両論が渦巻いたそうだ。

しかし、走りに関してはいたって真っ当だ。200 BRMはローバー200viをベースに仕立てられており、専用のサスペンションやトルセンLSD、クロスミッションなどで武装。1.8リッターのKシリーズエンジンそのまま搭載されているが、ボディサイズに対して大きめなエンジンに、シャシーチューンを施したコンパクトで軽量なボディという組み合わせは、多くのホットハッチが採用するまさに方程式といえる。
このローバー200 BRMは、なんと1997年の東京モーターショーにも参考出品されていた。アーカイブによれば、エンジンは直列4気筒DOHC-VVC仕様・1795cc・145馬力(6750rpm)・トルク17.7kg-m(4000rpm)、5速MT、全長3975mm×全幅1695mm、ホイールベース2500mmというスペックが公開されており、「偉大なるレーシングブランド、BRMの伝統を受け継ぐスポーティモデル」と紹介されている。結局は導入されなかったものの、ローバーが欧州だけでなく日本市場も意識していたことを示す記録として興味深い。

200 BRMは、英国向けに795台、その他の市場向けに350台が生産されたが、18000ポンドという強気な価格設定が災いし、限定車にもかかわらず販売期間中に値下げを余儀なくされた。それでも、限定生産という希少性はたしかに機能しており、現在も英国のクラシックカー市場でBRMは根強い人気をもち、状態のよい個体は相応の値がついている。走りの楽しさと希少性、 そしてなんともいえない独特のキャラクター。ちょっと奇妙で、でも妙に惹きつけられるホットハッチなのだ。




