【カオス通信】神話崩壊″ガンダム″も堕つ!売れなくなったアニメDVDの舞台裏
■インターネットの影響と著作権
こうしたアニメ業界内の問題のほかに、YouTubeに代表される動画配信サービスの影響も見逃せません。話題作・人気作であればあるほど、ネットに動画がアップされる確率も高くなります。メーカーサイドは当然ながら必死に削除依頼をしていますが、現状では、どう考えてもイタチごっこです。個人的にはYouTube程度の荒い画像ならば、ある程度プロモーションと割り切って、黙認してもいいような気はしますが、そうはいかないのが、メーカーの立場でしょう。たまに地方に行くと実感するのですが、なんでもかんでも放送している首都圏のアニメ環境は、ある意味異常です。本当に観たい作品は一切放送されず、新作アニメはNHKとレンタルビデオ店だけが頼りというアニメ過疎地域は意外と多いのです。地方のアニメファンにすれば、TVアニメが多すぎて困るというのは贅沢すぎる悩みなのです。
メーカーが個人による動画配信を公に認めることは無理でしょうから、完全否定となるのは承知しています。ただ願わくば、メーカー関係者様にはできるだけ「寛大な心」を持っていただき、ファン側との共存関係を構築して欲しいと願うばかりです。
■転換期を迎えるTVアニメの収益構造
様々な問題を抱えながらも、メーカー側はDVDを買ってもらうために必死です。「初回特典グッズ(※2)」「オーディオコメンタリー(※3)収録」「ディレクターズカット版(※4)収録」「最終回はDVD限定(※5)」といった様々な売り文句で、購買意欲を刺激しようと努力しています。(※2)初回特典グッズ:設定資料集やフィギュアなどが定番。ちなみに『N・H・Kにようこそ!』というひきこもりが主人公の作品では「ひきこもり星人なりきり全身タイツ(○っこりパッド付き)」というトンデモグッズが同梱されていた。
(※3)オーディオコメンタリー:監督や出演声優などが作品を見ながらコメントした音声のこと。
(※4)ディレクターズカット版:ON AIR版ではボカシがかかっていたスプラッタ描写やエロ描写がDVD版で解禁されたり、キャベツに見えないキャベツがちゃんと描き直されたりする(キャベツに見えないキャベツ:カオス通信第1回「TVアニメの過剰投下は百害あって一利なし」を参照)。
(※5)最終回はDVD限定:TV放映が途中で終了してしまい、最終回はDVDで見るしかないという状況。事情は様々だが、アニメファン的には大不評。本当に勘弁してほしい。
アニメ(特にTVアニメ)は、DVDの売り上げに頼っている構造を考え直す時期にきていると思います。それでもDVDを売りたいというならば、粗製濫造は止めて、あらゆる意味でクオリティの高い作品作りを目指すべきでしょう。特に現在は、ブルーレイやHD DVDなどの次世代規格が登場し始めていることもあり、買い控えが発生しても不思議ではないからです。
これからは深夜帯でマニア向け作品を作るばかりでなく、ゴールデンタイムで通用する一般視聴者の目に触れる作品作りにチャレンジしたり、劇場作品の興行収入で稼ぐ、といった別の道を模索していくべきかと。私も最近買った作品は、映画館で4回も観た『時をかける少女 限定版』だっただけに、余計にそう思うのであります。
最近、期間限定でTVアニメの最新話をメーカー側が動画配信するという動きも出てきていますが、これはいい傾向だと思います。とにかく作品を観てもらわなければ、何も始まりません。今後より一層の企業努力に期待したいところであります。
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プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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