ここ数年、都内を中心に急速に存在感を高めているのが、ファットタイヤを採用した海外製e-bike(電動アシスト自転車)です。ブロックタイヤに前後サスペンション、骨太フレームで折り畳めるといった、スタイリッシュな外観と高い走行性能で人気を集めています。

一方で、市場には法規適合が不十分な製品も多く、「何が合法で何が違法なのかわかりにくい」という状況が続いています。重大事故も発生しており、2026年4月には交通反則通告制度(青切符制度)が施行され、自転車の交通違反に対する取り締まりが大きく強化されました。

↑ITALMOTO「Aurelia-X」。都市部でよく見かける、ファットタイヤのe-bikeと似ているフォルム。

こうした状況の中でe-bike市場に参入したのが、自動車ディーラーやレンタカーなどのモビリティ事業を手がけるモビライズグループのMOBIPARKです。同社代表の山岸史明氏は、e-bikeが単なるトレンドではなく「未成熟な巨大市場」であると指摘します。

e-bikeの市場規模を見ると、2025年の年間販売台数は31万5,815台、金額ベースで418億円規模に達し、自転車市場全体の約16%を占めています(自転車産業振興協会「2025年POS販売統計年間総括」)。同社では関連データをもとに、e-bike市場の販売ポテンシャルを年間約27万台規模と試算しています。

今回の参入について山岸氏に話を聞くと、「自動車業界で培った法令遵守や品質管理のノウハウをe-bikeに持ち込むことで差別化を図る狙いがある」とのことでした。

都市部でよく見るMATEの対抗馬がイタリア発のAurelia-X

同社が輸入販売しているのが、創業1952年の歴史を誇る、イタリア発のe-bikeブランド「ITALMOTO(イタルモト)」です。なかでも注目モデルが、ファットタイヤを採用したAurelia-X(アウレリア エックス)。都市部でよく見かけるデンマーク発の「MATE X EVO」の税込価格407,000円と比べると、税込価格328,000円と約8万円安くなっています。

↑リアサスペンションもあるため、段差に乗り上げたときでもショックは少ない。
↑わかりやすい液晶パネルで、バッテリー残量や速度、アシストモード、走行距離などを表示。
↑折り畳みのアシスト自転車で、フレーム中央を折り畳めばバッテリーを取り外せる。
↑フロントサスペンションは減衰力を調整可能で、サスペンション固定も可。
↑前後のブレーキは機械式のディスクブレーキを採用。
↑500Wモーターとシマノ7速を採用しているため、急坂でも走れる。

スペック面で比較すると、Aurelia-Xは強力な500Wモーターを搭載するのに対し、MATE X EVOは250W。航続距離については、Aurelia-Xが145.3km(東京都有明近郊での実走行テスト)に対し、MATE X EVOは116km(MATE.BIKE JAPAN調べ)と公表しています。変速機はAurelia-Xがシマノ7速、MATE X EVOがシマノ8速。タイヤサイズはいずれも20×4.0インチで、車両重量も約27kgと大きな差はありません。

「何が違法なのかわかりにくい」e-bikeだからこそ、法令順守にこだわる設計

日本でe-bikeとして公道を走行するためには「時速24kmを超えるとアシストがゼロになること」「ペダルを踏み込む力に対してモーターがアシストするのは2倍までであること」などが法律で定められています。しかし、海外製e-bikeの中には、ハンドルのレバー操作だけで走行できるものや、時速40kmを超えてもモーターがアシストするモデルもあり、実際に流通してしまっているのが現状です。

山岸氏は、「日本の法律上、電動アシスト自転車で公道を走行するにはトルクセンサーが必要です。スピードセンサーのみを搭載した海外製e-bikeは、輸入してそのまま販売できる製品ではありません。そのため、すべての車両を生産段階で、日本の道路交通法で定められた電動アシスト規定に適合した日本仕様にプログラムしたうえで輸入しています」と説明します。

バッテリーや充電器についてはPSEマークを取得し、電気用品安全法を順守。また、リチウムイオン電池の保管や廃棄などは消防法およびリサイクル法を順守しています。ほかにもいくつかの法令をクリアするまでに、3〜6か月を要しているそうです。

製品基準は自社で5段階評価を設けており、カテゴリー3以上のみを販売対象としています。このカテゴリー3は、一般財団法人 日本車両検査協会(VIA)の検査員が実施するアシスト比率検査を受け、VIA捺印付きの成績証明書を取得したもの。なお、成績証明書は検査個体に対するもので、同社では検査個体と量産車両との間でアシスト性能に差異が生じないよう、厳格な製造管理を行っているとのことです。

同社は全モデルでの型式認定取得を目標に掲げており、順次取得を進めています。

e-bike選びはデザインから「安心して乗れるかどうか」のフェーズへ

海外製e-bikeはこれまで、デザインやトレンド性が先行してきました。しかし、違法車両問題や規制強化を背景に、安心して乗れるかどうかが重要な判断軸へと変わりつつあります。そうした中で、法規適合と情報開示を前提とした製品づくりを進める同社の取り組みは、市場の方向性を示すひとつの指標といえそうです。

さらに同社は「売って終わりではない」ビジネスモデルの構築にも踏み込んでいます。たとえば、パンクやバッテリー保証、提携事業者による全国出張修理、万が一に備えたロードサービスの整備など、各種アフターサービスも用意。将来的には、IoTとBluetooth連携による車両情報の可視化やe-bikeの乗り換え、下取り・買い取りを前提とした車両循環モデルなどの実現を目指していく方針です。

【「Aurelia-X」主要スペック】
価格:328,000円(税込)
モーター:出力500W
バッテリー:36V13.6Ah
航続可能距離:145.3km(モビパーク実走行値※東京都有明近郊 気温12℃)
変速機:シマノ7速
サスペンション:前後油圧式
タイヤサイズ:20×4.0
ブレーキ:前後機械式ディスク
車両重量:27kg

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