■吉岡さんは普段、女性らしい扱いは男性2人から受けていますか?

吉岡:いや、受けていないです。もう諦めていますね(笑)。

山下:非常に身内らしいというか、もう完全に家族的な、兄弟的な感じですよね。女性として扱ってしまうと、多分バンドとして成り立たない様な気がしますね。

吉岡:友達というか、普段3人で遊んだことが無いんですよ。

水野:コイツはライブもテレビも人前に出る時はジーンズを履くんですけど、たまぁーに撮影もない時にスカートを履いてきたりするんですよ。そうするとなんか…嫌な感じなんですよ(笑)。

吉岡:「よしなさい、そんな足出しちゃって!」みたいなね。

水野:もう親みたいな感じなので。全然、嫌なんだよね(笑)。

山下:象徴的だったのが、この間、良樹が「カラオケでMr. Childrenさんの『抱きしめたい』を本気で歌いました」と言ったら、聖恵が本気で鳥肌を立てていて(笑)。

■また聞きますけど、それはどういう意味の鳥肌なんですか?

吉岡:想像すると辛い…みたいな。

山下:お父さんが真剣になっているのが嫌だ、みたいな。きっと、そういう関係ですよね。

■吉岡さんから見た、水野さんの第1印象は?

吉岡:最初、静かな感じで、何を考えているか分からないと思った。

水野:人見知りするので。

吉岡:最初はバンドを組んで、一応リーダーだったんですけど。

水野:全然仕切らないからね。そのバンドは空中分解しました(笑)。

■その後、第1印象から変わったことはありますか?リーダーぶりを発揮してきたとか。

吉岡&山下:…(沈黙)。

水野:リーダーと言っているのも自称なんですよ。未だに認められてない。

■水野さんと山下さんは2人ともがギターで、吉岡さんをボーカルに入れて、今の3人の形でずっとやって行こうというイメージは最初からあったんですか?

水野:女の子を真ん中に入れて、3人というスタイルは、なんとなく自分達の中ではイメージとしてあって。そんなに真剣に考えてなかったんですけど。

山下:当時、穴だったんですよ。なんとなく、ギター2人で女の子ボーカルって無いなぁと思ってましたけど。

水野:地元の小ちゃいコミュニティーの中ですけど、小田急沿線何駅かの路上ミュージシャンを見ると、みんな男2人で、女性も少なかったし、男女混合がいなかったので。女の子を入れたら、今は女子高生しか集まらないのが、男子高生も、お父さんお母さんも来てくれるかな?と思っていたら、実際に聖恵が入ってからは、そうなったんですよね。

■ベースとドラムを入れてバンド編成でとか、路上でも発電機を回してアンプに繋いでエレキでやろうとは思いませんでしたか?

水野:当時はお金が無かったんですよね。アコギも親戚のおじさんからもらったヤツとか。アンプも買えないし、ライブハウスに行くお金も無いし。

吉岡:私もマイクを使わなくて、駅で「ウワァー」って。なるべく、たくさんの人に声が届く様にギリギリまでキーを上げてたよね。

山下:LOWは全然広がらなくて。改札を出て来た人にとりあえず、やっているんだということを教えたかったので。

吉岡:もうスピッツの様に歌ってましたよ。「キャンキャン」って(笑)。

水野:本心は多分、バンドとかをやってみたかったんでしょうね。色々アンプを使って、ライブハウスでやってみたかったんだけど、そんなお金も無く。練習も放課後にわざわざうちらの高校に忍び入って教室に集まって、たまに怒られたりして。

吉岡:お兄ちゃんのジャージを借りて行くんですよ、スカートは自分の高校の制服なのに。で、ピンクの自転車で(笑)。先生に「お前何組だ!?」と言われて、「2組です!」と答えたら、「そんな組はない!」って怒られました。

山下:うちの学校は「A、B、C」組だったのに(笑)。

■最初は、それほど先のことは考えていなかったんですね。

水野:全然考えていなかったですね。部活動みたいな感覚で。

■路上で続けていく内に、徐々にお客さんが増えていって。

山下:友達が増えて、お客さんが増えて、毎週楽しいなという。もうそれだけでしたね。