ボストン・ダイナミクスとトヨタ(TRI)がヒューマノイドの高性能グリッパーを開発中 器用に手を使う動画が話題に

ボストン・ダイナミクスは、電動版「Atlas」の開発とともに、従来の「歩行や移動」「ダンスなどのパフォーマンス」中心の開発から、人間のハンドやグリッパー(手や指)の機能に該当する「マニピュレーション(物体操作)」重視へと研究の軸足を移している。

その中核のひとつが新開発のグリッパー(手)だ。開発チームは、人間の手のように多機能かつ耐久性を備えた設計を目指している。

■What's in a humanoid hand? | Boston Dynamics:
●グリッパーはヒューマノイドの実用化に最も重要な要素
グリッパーはヒューマノイドロボットの中でも最も複雑な部品のひとつであり、狭い空間に複数のアクチュエーターとセンサーを組み込む必要がある。そのため、ボストン・ダイナミクスは短期的な成果よりも、長期的な学習を重視するアプローチを採用した。

第一世代モデル「GR1」は、最も基本的な人間の手の動きを模倣した設計で、主に基礎的な把持性能を検証する目的で開発された。このモデルによって、ロボットが転倒した際にグリッパーが受ける衝撃や、実際の作業での耐久性など、現場レベルの知見が蓄積された。
その経験をもとに誕生したのが、第二世代の「GR2」。GR2は7自由度と7つのアクチュエーターを備え、3本の指と可動式の親指を持つ。各指先には触覚センサーを、掌にはカメラを内蔵。ユニット全体が独立しており、容易に着脱できる点も特徴だ。

●最大の進化は「親指」
最大の進化は「親指」の追加だ。これにより、2本指では難しかった多様な把持動作が可能になり、繊細な物体の操作から重いものの保持まで対応範囲が広がった。3本指という構成は、複雑な操作を実現するうえで必要最小限の数とされ、信頼性や開発効率の面でも最適と判断された。指を増やすことは技術的には可能だが、複雑化による信頼性低下やコスト増を避けるため、現時点では採用していない。

触覚センサーの導入も重要な進化である。センサーは指先に埋め込まれた弾性素材の変形を検出し、力の大きさをフィードバックする。これにより、ロボットは物体を「壊さずに」「滑らせずに」保持することができる。人間が自然に行う力加減を再現することが目的だ。
さらに、GR2は指を90度回転させたり、完全に後方へ折り曲げたりすることもできる。この柔軟性により、裏側から物を掴むような高度な動作が可能になった。また、人間の手と同様に左右のグリッパーを鏡像構造で設計している。Atlasは利き手を持たず、タスクごとに最適な手を選んで使用する。
開発チームは次の目標として「器用さ(dexterity)」のさらなる向上を掲げている。製造現場では、部品のピッキングや工具の扱いなど、小さな物体を扱う精密な作業が重要だ。こうした課題に対応するため、より人間に近い形状と動作を持つグリッパーが求められている。



動画では、ボストン・ダイナミクスが目指すのは、器用さ・駆動性・センシング能力の最適なバランスを見つけること、と解説している。その機能の進化こそが、今後数年の最大の挑戦であり、ヒューマノイドロボットの新たな進化の鍵になる。
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