AIデータセンターへの投資抑制の動きも部分的な動きにとどまり、「ソブリンAI」のコンセプトに共鳴したオイルマネーの参画などで、AI関連市場は再び活況を呈することになる。そして、ここにきて急速にAIの社会実装が進み、さまざまなシーンでAIの活躍が我々の日常に投影される状況となっている。

●立ち遅れる日本もキャッチアップへ動き出す

 JEITA(電子情報技術産業協会)によると生成AI市場のグローバルベースの需要額は2023年時点で約106億ドル(約1兆5800億円)に達したとされるが、何とこれが30年には約20倍の2110億ドル(約31兆4400億円)まで膨張するという試算がなされている。これは生成AIがあらゆる産業分野に我々の想定を上回るスピードで急激に浸透していくことを示唆するものである。

 もっとも、現在の日本は世界的に生成AIの活用に関して出遅れていることは明白である。今月開示された総務省の情報通信白書によると、国内で生成AIの利用経験のある個人は全体の26%にとどまっているという。老若男女を問わず約4人に1人は利用したことがあるということになり、これが果たして少ないのかどうかという話になるのだが、ちなみに中国では全体の81%、米国でも68%が利用経験ありということで、日本は大きく及ばない状況となっている。総務省の白書でも、日本は世界のAI先進国に技術や利用面で大きく後れを取っているという認識で、今後AI技術を推進するとともに、社会生活における活用などを一層進めるべきという結論を提示している。

●イメージされ始めたシンギュラリティの瞬間

 生成AIは教育やビジネス、医療、アート、ロボティクスなど非常に幅広く活用されているが、今後は自動運転やドローンなどの次世代物流分野や人材開発などにもその活躍領域を広げていく可能性が高い。当然ながらこれまでは人間がAIを開発し、その進化を見届けてきたわけだが、いつの間にか人材を育成・開発する側にAIが回るようなSFチックな時代もすぐそこに迫っている。

 AIの社会実装が進むということは、人類の英知の総和をAIが上回るとされるシンギュラリティ(技術的特異点)に漸次近づいていくということでもある。時間軸的に今はその初動にあるといえそうで、株式市場でもAI関連の範疇に属する企業を対象に、中期的に存在感を高めていく銘柄の取捨選択が重要性を増していく。今回のトップ特集では、AIの社会実装で商機を捉える有望株を6銘柄エントリーした。