記事のポイント
シーインは関税緩和を受けて米国で価格を引き下げ、追加料金なしを強調した。
米政府は中国製品の関税を90日間一時的に引き下げ、デミニミス制度も変更。
テムは非ローカル商品の販売を再開し、チェックアウト表示にも変化が見られた。


ファストファッション大手のシーイン(Shein)は、米中間の新たな貿易合意により中国からの輸入品にかかる関税が一時的に緩和されたことを受け、米国の顧客向けに価格を引き下げたと、Modern Retailが報じた。

シーインは5月14日、顧客へのメールおよび公式Webサイト上の声明で、「多くのスタイルの商品を値下げした。この夏のセールでさらにお得になる」と発表した。さらに、「購入を控えていた方も、最近チェックしていなかった人も、今が夏のコーディネートを見つける絶好のタイミングだ」と続けた。

シーイン、関税緩和を受け価格引き下げ



シーインは今回の値下げについて、中国からの輸入品にかかる関税の一時的な引き下げによるものだと明言はしていないが、声明の下部には、関税とは何か、またそれがシーインでの注文にどのような影響を及ぼすかについて簡単な説明を掲載している。さらにシーインは、チェックアウト時にサプライズ料金を追加しないことも顧客に伝えており、これは以前テム(Temu)がチェックアウト時に輸入手数料を追加し、顧客から反発を受けたことを意識した対応とみられる。なお、ベイス(Beis)やサートバ(Saatva)といったブランドは、価格が上がる前に購入するよう顧客に呼びかけていたこともModern Retailは報じている。

この動きは、米国政府が中国からの輸入品にかかる関税を引き下げたあとに起きたものだ。5月中旬、米中両政府は90日間の関税緩和措置に合意し、米国は中国からの輸入品にかかる関税を145%から30%に一時的に引き下げた。この措置は5月14日より有効となっている。

大統領令によれば、デミニミスに適用される関税も、従来の120%から54%に引き下げられるか、あるいは一律100ドル(約1万4500円)の固定料金となる。これまで米国は、中国および香港からの800ドル(約11万8500円)未満の配送には輸入税を免除していたが、トランプ政権は5月2日にこの制度を廃止した。

シーインは、中国からの直送を大きく活用しているため、5月初頭にトランプ政権がデミニミスを廃止したことで、より大きな影響を受けた。その対応として、シーインは米国での商品価格を引き上げ、広告費を削減していた。

テム、関税緩和で中国出荷商品が増加傾向



同様に、テムも米国の顧客向けに再び海外(非ローカル)商品を販売しているようだ。たとえば、テムで6.94ドル(約1090円)で販売されているトランク用の収納グッズには「ローカル」バッジが付いておらず、中国に拠点を置く販売者から出品されている。この商品には輸入手数料は含まれていないが、テムのチェックアウト画面では「注文には、現地の倉庫から発送されない商品が6.94ドル(約1090円)分含まれているが、25.00ドル(約3920円)の最低金額に達していない。チェックアウトには、現地の倉庫から発送されない商品をあと18.06ドル(約2830円)以上追加する必要がある」と表示される。

テムは5月2日、Modern Retailに対して、米国での販売はすべて国内の販売業者によって行われ、注文は現地の倉庫から発送されていると述べた。

「シーインやテムのような企業は、基本的に需要に応じて商品を発送しているため、関税の影響が即座かつ明確に表れる」と、独立系eコマースアナリストのユオザス・カジウケナス氏は以前Modern Retailに語っている。同氏は、90日間の関税緩和期間中、テムのようなサイトが非ローカル商品をさらに多く掲載するようになる可能性が高いと付け加えた。

シーインとテムの両社は、本件に関するModern Retailの取材に対してすぐにコメントを残さなかった。

[原文:Shein cuts prices amid temporary US-China tariff relief]

Allison Smith(翻訳・編集:坂本凪沙)