【マッチプレビュー】それぞれの生き残りをかけて。|J1第35節 ヴィッセル神戸vsジュビロ磐田|
J1リーグも第35節を合わせて残り4試合となりました。
今回は優勝争い真っ只中のヴィッセル神戸と残留争い真っ只中のジュビロ磐田の対戦について考えてみようと思います。
一つ前の34節、各々の戦いは対照的なものになりました。ヴィッセル神戸はFC東京に敗戦、ジュビロ磐田はセレッソ大阪に劇的な勝利を収めています。
勢いの面でいくならジュビロ磐田に分がありそうですが、やはり王者は王者。ACLEでしっかりと勝利を取り戻し、天皇杯準決勝でも京都サンガF.C.に勝ち切って決勝に進んでいます。
どちらも勝たなければならない一戦であり、勝ちにこだわる大義名分があります。
ではこの試合がどのような展開になりそうかを考えていこうと思いますので、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
予想スターティングメンバー
ジュビロの勝ち筋は迎撃?
ジュビロ磐田は33節のサンフレッチェ広島戦から3421を採用しています。3421を採用したことにより、守備の安定化と攻撃構築の明瞭化を図り、それが見事にハマっています。
34節のセレッソ大阪戦はその象徴の試合で、迎撃とショートカウンター、ローブロックとジャーメイン良をターゲットマンとしたロングカウンターでゴールに迫っていました。
この良い感覚を持ちつつ、ジュビロは王者ヴィッセルに向かっていくと思います。
そしてヴィッセルに打ち勝つ迎撃の方法が523のミドルプレスになります。まずウィングバック(WB)が必ずウィング(WG)のところまで下がることからこの守備は始まります。ヴィッセルの両WGは言わずもがな、強烈な個を持っており、まずはこの近くに人を置いておきたいところですし、きっと横内監督はそれを選択すると思います。
ジュビロの迎撃ポイントとして挙げられるのは、インサイドハーフ(IH)に入るであろう宮代大聖と井手口陽介、そして出口を作る大迫勇也のところになります。
ではいかにしてここに誘導するのか。それは「センターバック(CB)→サイドバック(SB)→斜めのパス」になります。この形でサンフレッチェ広島とセレッソ大阪を苦しめ、難敵に勝ち点を獲得しています。
この誘導を実行するために、3トップの中央消し/方向付けはかなり重要なものになってきます。特に433を採用し、「セントラルハーフ(CH)の手前」の扇原貴宏を3トップで隠す必要があります。
なぜこれが必要になってくるのか。仮にジュビロのCHが守備的MF(DMF、この場合扇原)まで出てしまうと、迎撃を狙いたいIHやCFに対する「CHの挟撃によるヘルプ」が薄くなってしまうからです。
だからまずジュビロは3トップの中央消しと方向付けが大切になります。スペースを守りながら、SBに誘導した瞬間にSB↔︎セカンドトップ(ST)のプレスを発動させて斜めにパスを打たせることができれば、迎撃とショートカウンターを繰り出すことはできると思います。
とは言え、宮代大聖や井手口陽介、大迫勇也の身体的な強さと技術はトップオブトップ。ここを潰し切れるか否かは試合を大きく左右していきそうです。
それでもハッサン・ヒルやリカルド・グラッサの対人の強さや潰し切る能力も劣っていません。ここのバチバチの戦いは試合の見どころの1つでしょう。
上のパスはどうする?
下からの作り、持ち出しを作り出すことを行っている今季のヴィッセル。しかしその戦い方の基盤はやはり大迫勇也への上のパスとゲーゲンプレス+カウンターです。
さらに大迫勇也に加え、宮代大聖も上のパスから起点を強引に作ることができるようになっています。この2人を3CBで抑えつつ、レオ・ゴメスと中村駿で2nd回収をしていく他ありません。
一番嫌なのはハイプレスに出たり、CHがDMFまで出て中央が気薄になることです。しっかりコンパクトにして、2ndボール回収の土俵にまずは立つことが重要になるでしょう。
ヴィッセルの勝ち筋はサイド攻略?
一方のヴィッセルです。僕が考える彼らの勝ち筋はサイドの攻略だと思います。いわゆる「迎撃エリアを避けて進む」ことが重要になってくるでしょう。
そのためにやはりまずはDMF扇原貴宏を経由したいところです。先ほども少し触れたように、523や3421の1つの攻略法として「CH手前の起点/経由」が必要になってきます。ここを経由することができれば、CHを動かすことができるからです。
まずはここの出口を使いながら、CHの中村駿やレオ・ゴメスを引っ張り出したいところです。これを行うことができれば、IHのマーカーが薄くなります。そうするとSB-IH-WGの関係値を作り出しながら、サイドを攻略できそうです。
昨シーズンのヴィッセルはSBとWGの二人称の関係値でサイドを攻略する「個人」の色がかなり濃かったのですが、今季は三人称でプレーすることができています。その中で個人が生きるので、3つのコンペティションでも勝ち続けることができているのだと思います。
IHをフリーにすること、もっというと出口を作り出す選手に空間を与えることができれば、サイド攻略からフィニッシュワークを作り出すことは可能になりそうです。
必要なのは組織。そして個人の強さ
やはり必要なのは組織です。
お互いにスーパープレーヤーが揃うので、その圧倒的な個をどうやって生かすのか。組織が個人を生かし、個人が組織を生かす。この関係値を高い次元で展開したチームが勝利を得ると思います。
それぞれの生き残りをかけて、必要なのは「勝点3」しかありません。
Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|
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