◆米大リーグ ワールドシリーズ第5戦 ヤンキース6―7ドジャース(30日、米ニューヨーク州ニューヨーク=ヤンキースタジアム)

 大谷翔平投手(30)、山本由伸投手(26)の所属するドジャースが、3勝1敗と王手をかけて迎えたワールドシリーズ第5戦、敵地・ヤンキース戦で、ワールドシリーズ史上最大となる5点差をひっくり返す逆転勝ちをして、4勝1敗で2020年以来4年ぶり8度目のワールドチャンピオンに立った。大谷はメジャー7年目の移籍1年目、山本はメジャー1年目で悲願の頂点に立った。

 激しい試合だった。ドジャースは初回に先発のフラーティがジャッジ、チザムに2者連続本塁打を浴びて3点の先取点を献上。2回にも1点を失って2回途中4失点でフラーティはまさかのKOとなった。3回に3番手右腕・ブレージャーがスタントンにソロを浴びて5点差。試合の流れは完全にヤンキースに傾き、勝負は決まったかに思われた。

 だが、5回には一挙5得点で同点とした。先頭のE・ヘルナンデスが右前安打で出塁すると、エドマンの平凡な中堅へのライナーをジャッジが落球。無死一、二塁でスミスの遊撃へのゴロも遊撃手のボルピが三塁に送球も悪送球(記録は失策)となって無死満塁となった。ラックス、大谷は2者連続三振に倒れ、ベッツも一塁への平凡なゴロで3アウトかと思われたが、コールが一塁へのベースカバーを怠って内野安打でドジャースが1点を返すと、フリーマンの中前2点適時打、T・ヘルナンデスの2点適時二塁打で一気に追いついた。

 同点の6回には6番手右腕のグラテロルが誤算。2四球を与えて1死一、三塁でスタントンに中犠飛を許して、無安打で再び勝ち越しを許した。それでも8回に無死満塁のチャンスを作ると、ラックスの中犠飛で追いつき、ベッツの中犠飛で勝ち越し、ついにリードを奪った。

 大谷は、第2戦で左肩を亜脱臼しながら「1番・指名打者」で強行出場。昨季サイ・ヤング賞に輝いた先発右腕のコールの前には4打席無安打。5点を追う5回1死満塁の大チャンスでは力強いスイングを見せたが左肩を気にするようなしぐさも見せて空振り三振に倒れた。同点の8回1死一、三塁の5打席目は、抑えのウィーバーから初球をスイングしてファウルとなったが、捕手のミットにバットが当たったため、打撃妨害で出塁し、ベッツの勝ち越し犠飛につなげた。

 山本は第2戦で7回途中1安打1失点と好投。日本人投手では2007年の松坂(レッドソックス)以来2人目となるワールドシリーズの勝利投手になった。中5日で第6戦に先発予定とあって、この日は試合前にはブルペンで投球練習を行ったが、2度目の登板機会を迎える前にチームが勝負を決めた。

 ワールドシリーズの最大点差の逆転はMLB公式のサラ・ラングス記者によると1925年パイレーツの「4」。5点差を逆転するのは、ワールドシリーズ史上初めての快挙となった。劇的な試合展開で、4年ぶりの頂点を決めた。ヤンキースは最後にワールドシリーズを制した2009年にワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(50)がこの試合で始球式を務めたが、15年ぶりの頂点とはならなかった。

 大谷はワールドシリーズでは第2戦で左肩を亜脱臼した影響もあって19打数2安打の打率1割5厘で本塁打も打点もなかったが、ポストシーズンでは61打数14安打の2割3分、3本塁打、10打点だった。