マウスやラットなどのげっ歯類が時折発する超音波に、周囲の粒子に影響を与えて臭気物質をひとかたまりにする性質がある可能性が示されました。臭気物質を集めることで匂いを嗅ぎやすくしているのではないかと考えられています。

Do rodents smell with sound? - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0149763424003774

These 'Jedi Rats' Have an Invisible Trick That Can Move Matter Remotely : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/these-jedi-rats-have-an-invisible-trick-that-can-move-matter-remotely

‘Use the force,’ Mickey: Study suggests that ‘Jedi’ rodents remotely move matter using sound to enhance their sense of smell - University at Buffalo

https://www.buffalo.edu/news/releases/2024/10/rodents-sense-of-smell-nose.html

げっ歯類が人間の可聴域を超える超音波を発することは1950年代から知られていますが、この音は求愛行動のために出されているとの見方が一般的でした。ところが、バッファロー大学生体音響学教授のエドゥアルド・メルカド3世が先行研究を調査したところ、げっ歯類の求愛行動と超音波の発出に矛盾があることが判明。加えて、げっ歯類は超音波を出した後すぐに匂いを嗅いでいることも確かめられたそうです。

この発見を基にメルカド氏は音響学の観点から考察を行い、げっ歯類が発する超音波には空気中の粒子をひとかたまりにする効果があり、これにより周囲の匂いを嗅ぎやすくしているのではないか、と推測しました。



メルカド氏によると、周囲の粒子をひとかたまりにすることで、嗅覚器官に高濃度のフェロモンが沈着する可能性があるとのことです。メルカド氏は「この行動は私たちが知っているスケールからはかけ離れていて、まるでジェダイのネズミを観察しているようです」と述べました。

なお、メルカド氏の仮説は実験で確かめられたわけではありません。



メルカド氏によると、げっ歯類の発声をコミュニケーションと結びつけ、不安や認知プロセスのモデルとして利用している先行研究があるそうですが、仮にメルカド氏の仮説が実証されれば、先行研究の見直しが求められる可能性があります。メルカド氏はまた、今回の仮説が正しければ、嗅覚がどう進化したのかを確かめる根本的な発見につながる可能性があると述べました。