「妻と浮気相手の間に生まれた子」を見捨てられなかった夫の悲哀。養育費を支払う“条件”は離婚翌日に破られ…
迷いに拍車をかけたのは妻が長男を妊娠した3年前。夫婦はセックスレスではなく、1ヵ月に1回ほどの夫婦生活はあったそうです。もし、長男が優斗さんの子でなければ、妻には表の顔(いい奥さん)と裏の顔(不倫妻)があることを意味します。優斗さんは「妻がそんなことをするわけがない」と自分に言い聞かせたのです。
◆普段おとなしい妻の「態度が急変する日」が
筆者が「全く何も心当たりがないんですか?」と尋ねると、優斗さんは首を横に振ります。「僕と知り合う前に付き合っていた元彼かな……」と口ごもります。元彼はもともと建設業を営んでおり、妻も彼の仕事を手伝っていました。それが、脱税の容疑で逮捕され、懲役2年の刑を科されたのですが、それが当時別れたきっかけでした。
「いつもの妻」はいわゆる三歩下がって歩くタイプ。「はい」「うん」「そうですね」と上手に合槌を打ってくれるのです。亭主を立てる謙虚で健気な性格です。妻は自分から話しかけてくることがほとんどなく、優斗さんは「僕が仕切らないと会話が続かないんですよ」と自嘲気味に語ります。
奇妙なことに、妻の態度が急変する日があると言います。例えば、きつい目で優斗さんのことを睨みつけ、罵詈雑言をぶつけてくるのです。例えば、「ユニクロのGパンなんてぜいたくじゃん?!ジーユーにしなよ!」「本当にボーナス、これぽっちなの?!何年、同じ会社に行ってんだよ!」「スポーツクラブで運動するなんて何様のつもり? こっちは陸斗(長男の名前)のお世話でくたくたなんだけど」と。いきなり守銭奴の顔に変貌するのです。
◆騙し騙し、子育てを続けてきたが…
筆者は「悪口を吹き込んだのは元彼なのでは? 元彼の影響を強く受けすぎるのでしょう」と指摘。妻は優斗さんの愚痴や不満、悩みを打ち明け、元彼が優斗さんの悪口に言い換え、それを妻が真に受けたということです。もし妻と元彼が復縁していたとするなら変貌ぶりには合点がいきます。どちらが本当の顔なのか。いつもは猫をかぶっていたのではないか。優斗さんは完全に混乱していました。
優斗さんは2年もの間「妻の疑惑」をはっきりさせないまま、何とか騙し騙し、子育てを続けてきたのですが、最近の妻の言動が目に余るものがあります。今までずっと我慢してきたにもかかわらず、このタイミングで思わず不満を爆発させてしまったのです。
「僕がいつも身を粉にして頑張っているのは二人のためだよ。仕事だって、なかなかやり手がいない夜勤を進んでやったり。家のことだって、できる限り、手伝っているつもりだよ。それなのに最近の態度は何なんだ? 僕にだって我慢の限界がある」と。
にもかかわらず、妻は黙って下を向き、一言も発しません。せめて「ごめんなさい」「心を入れ替えるわ」「これからは気を付ける」など最低限の約束があれば、優斗さんはこれ以上、何も言わなかったかもしれません。が、妻からは謝罪の言葉も改心の態度も、そして贖罪の意思もありませんでした。
◆妻が持ってきた鑑定書に明記されていたのは…
そこで「陸斗が僕の子どもじゃないってことくらい、前から知っていたんだ。それなのに普通の父親として接してきたし、愛情を注いできたし、十分なお金もかけてきたじゃないか」と口をすべらせてしまったのです。