日本国債は平準買いせず金利上昇を待ち投資、償還多く残高は減少=住友生命・24年度下期運用計画
Tomo Uetake
[東京 25日 ロイター] - 住友生命保険は2024年度下期の一般勘定運用で、超長期債を中心に日本国債を数千億円規模で積み増すものの、償還が多いため、残高は減少するとの計画を示した。国債の買い方については期間を通じた平準ペースでの投資は行わず、金利のさらなる上昇を待って集中的に行う方針。
増田光男・運用企画部長が25日、運用方針説明会で明らかにした。
同社の運用資産の主軸で円建ての負債に対応させる「日本国債等」は、金利リスク削減と収益力向上を目的に、30年国債を中心とした超長期債に「数千億円規模で」投資する。買いのペースは、過去数年続けてきた「平準買い」ではなく、金利上昇時をとらえて機動的に実施する。ただ保有国債の償還が多く、ネットの残高は上期に続いて減少を見込む。
足元で2.2%近辺の利回り水準にある30年国債に対する投資目線について、増田氏は「当社の負債コストを上回っており、十分投資に値する水準」だと前置きつつ、「今後も材料次第でもう少し上昇余地があるとみており、まだ集中的に投資するタイミングではないと判断している」と述べた。
日銀の金融政策について、住友生命では「日銀は政治イベントや価格改定の影響、来年の春闘に向けた動向等を見極め、今年12月か年明け1月に追加利上げを実施する」と想定。その後は「半年に1度のペースで中立金利の下限付近と考えられる1.0%程度まで利上げを行う」とのシナリオを描く。
外国債券のうち、為替リスクをヘッジしないオープン外債は金利や為替動向次第で柔軟に対応するとして、増減は決めていない。
ヘッジ付き外債は、事業債のほか、ヘッジコスト変動による収益への影響を抑制するためにCLO(ローン担保証券)など変動金利のクレジット資産を「数千億円規模で」積み増す。ヘッジ付き外国社債は上期は低利回り債の売却により残高を減少させたが、年度ベースの残高でも増加を見込む。一方、前年度に圧縮したソブリン債については、上期に続いて残高は現状維持とする方針。
国内株式と外国株式はいずれも、増減は株価動向次第だが、「調整局面があれば投資を検討したい」(増田氏)という。
オルタナティブはインフラエクイティやPE(プライベートエクイティ)ファンドへの投資により残高を増加、不動産は投資用不動産への投資により増加させる計画だ。
住友生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で37兆3813億円。うち外貨建て資産は12兆0805億円(32.3%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.50―1.50% (1.00%)
日本国債30年物利回り 1.70─2.40% (2.10%)
米10年国債利回り 3.25―4.75% (3.75%)
日経平均株価 3万2000―4万2000円 (3万9000円)
NYダウ 3万5000─4万4000ドル (4万2000ドル)
ドル/円 135―160円 (140円)
ユーロ/円 140―170円 (155円)
(植竹知子)