スポニチ

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 【競馬人生劇場・平松さとし】26日にオーストラリアのムーニーバレー競馬場でG1コックスプレートが行われる。プログノーシスが芝2040メートルの一戦に日本から参戦するのだ。初めて赤道を越えてのレースになるが、海外遠征自体は経験豊富。23、24年で3度の香港遠征経験があり、2年連続G1クイーンエリザベス2世Cでの2着に好走した。

 香港、そして今回の遠征でも調教を任されているのが清山康成調教助手。中内田厩舎のスタッフで、88年12月生まれの35歳。お父さまが調教助手をしていたため若い時は騎手を目指し、乗馬に励んだ。そんな時、助けてくれたのがお母さまだったという。

 「毎日、朝5時に起きて乗馬をしてから学校へ行く生活をしていたんですが、常に朝の送迎をしてくれたのが母でした」

 大阪や兵庫、和歌山などで試合がある際も自宅のある栗東トレセン近郊から応援に駆けつけてくれたという。おかげで乗馬の腕はメキメキと上達。インターハイに出場できるまでになった。その後、体重が増えて騎手こそ諦めたものの、牧場勤務、競馬学校を経てトレセン入り。17年から中内田厩舎で働き出し、21年に出合ったのがプログノーシスだった。

 「担当ではないけど、調教はいつも乗せてもらえるようになりました。元々弱い面があったけど、徐々に力をつけ、昨年の春に香港へ遠征したあたりから本格化してくれました」

 香港で2度のG1・2着。23年G2札幌記念に23、24年とG2金鯱賞連覇と重賞を3勝するまでに成長してみせた。この活躍を清山助手のお母さまは目の前では見られていない。今から10年前の14年、51歳という若さで他界してしまったのだ。空の上で見ているであろうお母さまに、オーストラリアから初のG1制覇を報告できることを願いたい。(フリーライター)