1.過剰に甘えてくる

以前より愛猫が甘えん坊になったなと感じたら、愛情に飢えている可能性があります。

訴えかけるようにニャーニャー鳴いたり、喉をゴロゴロ鳴らして擦り寄ってきたりというような行動が急に増加したら、今までは満足していたスキンシップが足りなくなってしまったため、不足感を補うために甘えているのかもしれません。

このような場合は、一緒に遊ぶ時間を増やしてあげましょう。難しければ、お気に入りの毛布やハウスなど安心できる場所を整えてあげたり、キャットタワーやキャットウォークなど遊べる場所を増やしてあげたりするのがおすすめです。

ただし、愛情不足以外の理由で甘えん坊になるケースもあります。

例えば、雌猫で避妊手術を受けていない場合では、発情期にいつも以上のスキンシップを求めてくることがあります。

また、脳腫瘍やホルモンの異常などの神経・内分泌疾患や、シニア猫が体調不良になったとき、甘える頻度が上がるなどの行動の変化が起きることがあります。

すぐに愛情不足と決めつけず、食事量や排泄、体重に変化はないかなど細かな観察を行い、見極めることが重要です。少しでも違和感を感じる場合や、どちらか分からない場合は動物病院で診察するのがおすすめです。

2.過剰なグルーミング

猫は自身でグルーミングをする動物ですが、寂しさから過剰になってしまうことがあります。グルーミングには心を落ち着ける効果もあるといわれており、いつまでも毛を舐めることで寂しさを紛らわせているのです。

もともとグルーミング好きな猫は変化が分かりにくいかもしれませんが、脱毛するほど舐めているのは異常。脱毛が進むと、皮膚炎を起こすこともあります。

なお、ダニやカビ、皮膚疾患が原因でグルーミングをしている場合もあるので、体を細かくチェックすることは大切です。

エリザベスカラーを付けることで舐めさせないようにして治療をする場合がありますが、さらにストレスが増加する可能性があります。

脱毛が見られる場合、まずは動物病院を受診しましょう。獣医師が必要と判断するほどの皮膚炎の場合はエリザベスカラーを着用し、まずは皮膚の炎症を治す必要があります。

ただし愛情不足が原因だった場合は、エリザベスカラーでは解決しません。皮膚の炎症が落ち着いた際に、獣医師の指示を仰いだ上でエリザベスカラーを外し、遊ぶなどスキンシップの時間を増やすことで、過剰なグルーミングを防がなければなりません。

3.夜泣き

猫が夜泣きする原因は認知症や発情期などさまざまですが、愛情不足から鳴く場合もあります。日中は誰もいないため、夜に激しく鳴いて訴えようとしているのです。

しかし、夜泣きしているからといってすぐに構うのは要注意。鳴けば構ってもらえると学習して、毎日のように夜泣きをしてしまう可能性があります。

猫の夜泣きを止めさせるにはやはりスキンシップが重要ですが、夜泣きしている間ではなく、日中や寝る前などに十分な時間を取るようにしましょう。愛情不足が解消されれば、徐々に鳴く頻度も減ってくるはずです。

愛猫への「愛情不足」を放置すると起こり得るトラブル

大好きな愛猫へかける愛情が切れることなどないと思いますが、愛猫からしてみると足りないと感じてしまうこともありえます。

もしその状態に気付かずに放置してしまったとしたら、どのようなトラブルが起こり得るのでしょうか。

健康問題が発生する

過剰なグルーミングで皮膚炎を起こす可能性があることは前述しましたが、見てすぐに分かる分、気が付きやすいといえます。

中には、体の免疫力が下がって感染症や膀胱炎になってしまうケースも。

また、布などをかじる行為「ウールサッキング」やビニール、ヒモ、その他のものをかじる行動がひどくなり、うっかり誤飲してしまって腸閉塞を起こすこともあります。

分離不安になる

飼い主と離れてしまうことが起因となって、さまざまな問題行動を起こす状態のことを「分離不安」といいます。心身の異常はもちろん、行動に変化が見られることが特徴です。

至るところで排泄したり、物や人、同居ペットに攻撃的になるケースもあります。分離不安は逆に、飼い主の過剰な愛情表現でも発症する可能性があるので注意が必要です。

まとめ

今回は、愛猫があなたに「愛情不足」を訴えているサインについて解説しました。

(野良猫は人間がいなくても生きているのに…)と考えるかもしれませんが、長く人間と過ごした猫は依存心が上がっています。突然スキンシップの時間が減ると、心が不安定になってしまうのです。猫はもともと変化が苦手な動物ですから尚更です。

猫を飼ったら、その生涯においてなるべくストレスとなるような大きな変化がないよう心がけましょう。もちろん、若いうちは狩猟本能をかき立てるような遊びなどでちょっとした変化をつけて、日々の暮らしに飽きないように気を付けましょう。自分はどれくらいの時間を猫に費やすことができるか、猫を飼い始める前にあらかじめ考えておくのが良いです。

また猫の性格によっても求める愛情の大きさは違うため、双方にとってちょうどいい距離感を見つけてみましょう。


(獣医師監修:唐野智美)