ウォール・ストリート・ジャーナルやダウ・ジョーンズといった有力紙の親会社であるNews Corpが、AI検索サービス「Perplexity」を相手に著作権訴訟を起こしました。

Wall Street Journal, New York Post Sue AI Startup Perplexity, Alleging ‘Massive Freeriding’ - WSJ

https://www.wsj.com/business/media/wall-street-journal-new-york-post-sue-perplexity-ai-c5d9554d

News Corp's Dow Jones, NY Post Lawsuit Against AI Startup Perplexity

https://variety.com/2024/biz/news/news-corp-dow-jones-ny-post-sue-perplexity-copyright-infringement-1236184900/

PerplexityはAIを用いた検索サービスで、インターネット上のニュース記事やブログ記事の情報をもとに検索語句に対する回答を生成してくれます。例えば、以下の例では「Raspberry Pi 5にSSDを装着してSSDからOSを起動する方法を教えて!」という検索語句に対してGIGAZINEの記事を含む複数の情報ソースをもとに回答を生成しています。



Perplexityは「インターネット上のコンテンツをもとに回答を生成する」という機能を有していることから、著作権上の問題に直面してきました。Perplexityは法的問題を回避するために広告収益分配プログラムを提案するなどの施策を進めていましたが、2024年10月には大手日刊紙のニューヨーク・タイムズからコンテンツの使用停止通告を受けたことが報じられています。

ニューヨーク・タイムズがAIスタートアップのPerplexityにコンテンツへのアクセスと利用を停止することを要求 - GIGAZINE



そして、2024年10月21日には「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ダウ・ジョーンズ」「ニューヨーク・ポスト」といったメディアの親会社であるNews Corpが、Perplexityを著作権違反で訴えたことが明らかになりました。訴状によると、News Corpは2024年7月にPerplexityに対して「著作権で保護されたコンテンツの無断使用を取りやめて、正式なライセンス契約を締結することを提案する書簡」を送付したとのこと。しかし、Perplexityからの返答は得られなかったそうです。

訴状には、PerplexityによるNews Corpのコンテンツ無断使用の実例も記されています。例えば、Perplexityは「ニューヨーク・ポストの記事全文」を回答として出力することがあったとのこと。



また、ウォール・ストリート・ジャーナルの有料記事の要約が表示されることもありました。



さらに、ニューヨーク・ポストの記事内容に続いて、AIの幻覚(ハルシネーション)によって生成された誤情報が表示されてしまうこともあったそうです。



なお、News CorpはChatGPTの開発元であるOpenAIとは複数年にわたるコンテンツ利用契約を締結しています。

OpenAIがウォール・ストリート・ジャーナルの親会社「News Corp」との複数年契約を発表 - GIGAZINE



訴訟とは別に、Perplexityは2024年10月に5億ドル(約750億円)規模の資金調達ラウンドを開始したことが報じられており、資金調達の完了後は評価額が80億ドル(約1兆2000億円)に達すると目されています。また、Perplexityの2024年3月までの年間収益は約1000万ドル(約15億円)でしたが、直近の収益をもとに推算すると今後12カ月で約5000万ドル(約75億円)の収益を得るとされています。