北陸新幹線の敦賀〜新大阪間のルート候補に上げられたことで、一躍注目が集まるようになったJR桂川駅。この駅と乗り換え可能な距離にあるのが阪急京都線の洛西口駅です。こちらも“大化け”する可能性を帯びることとなりました。

JR桂川駅の西側、阪急の洛西口駅

 2024年8月7日に国土交通省が北陸新幹線 敦賀〜新大阪間のルート選定案を示しました。ここに掲載されたことで、JR京都線の桂川駅(京都市南区)が注目を集めています。北陸新幹線が通れば「新京都駅」になる可能性がある駅ですが、周辺にはもうひとつ、至近距離に別の駅もあり、このエリアに関心が集まっています。


阪急電鉄京都線(画像:写真AC)。

「桂川案」は駅西側の地下50mにホームを建設し、現在の桂川駅とは10分で乗り換えられるという想定です。現状、駅西側はイオンモール(現・イオンスタイル)京都桂川と直結しており、これが地域の中心施設にもなっています。

 その桂川駅の西側600mほどの場所には、阪急電鉄京都線の洛西口駅(京都市西京区)があります。同駅から京都の観光地である嵐山駅までは桂駅乗り換えで16分。京都の中心部である京都河原町駅までは、同じく桂駅乗り換えで15分と便利な立地です。新幹線開通後は、北陸方面からの観光需要も期待できそうです。

 仮に新幹線停車を機会として、何らかの連絡通路などが建設され、洛西口が特急停車駅になった場合、京都河原町駅までの所要時間は12分程度と考えられます。桂川駅から京都駅までは9分程度ですから、新京都駅は京都の広い範囲に高い利便性を持つ駅となるでしょう。

 では、洛西口駅とその周辺はどのような場所なのでしょうか。

 一帯には太平洋戦争中、軍需工場が建設されていました。これは現在の陸上自衛隊 桂駐屯地のあるエリアです。そうした場所に1946(昭和21)年、物集女(もずめ)駅が開業しました。これが洛西口の前身ともいえる駅です。

開業後5年で作り変え!?

 ところが、戦争が終わってから開業した物集女駅には需要がなく、わずか2年で廃止されてしまいます。

 さらに時代が下りキリンビールの京都工場が1999(平成11)年に営業を終了すると、地域の再開発が計画されたこともあり、2003(平成15)年に、阪急「洛西口」として再度駅が設けられたのです。

 阪急電鉄で30年ぶりの新駅として注目されましたが、開業からわずか5年で全面的に作り直されます。これは事前に立体交差化が決まっていたためです。

 開業時点では地平にホームが設置され、相対式の2面2線でした。開業時すぐに取り壊せるよう駅舎は簡素で、それぞれのホームに改札口があり、ホーム間をつなぐ地下道や跨線橋は設けていませんでした。ただ駅名標は景観に配慮し、竹をイメージした装飾が施されていました。

 その後、2013(平成25)年に上り線ホームが高架化。2016(平成28)年に下り線ホームが高架化されて、現在に至ります。現在も相対式ホーム2面2線は変わりませんが、エレベーター1基、エスカレーター2基があり、上り下りの行き来は簡単です。


駅至近のイオンスタイル京都桂川(2024年8月、安藤昌季撮影)。

 停車列車は普通と準急のみ。乗降人員は1万2608人(2022年)です。最大の特徴は高架下の「TauT阪急洛西口」で、隣の桂駅までの約1kmにわたり、京都で人気の店舗や地元企業が入居した商業エリアとなっています。

 駅前にはバスロータリーもあります。駅の西側は住宅地となっており、物集女の地名も残っています。高架化されているので東西の行き来は容易であり、イオンモール京都桂川店への移動もしやすいことからか、周辺人口は急増しているようです。

 実際に北陸新幹線がこの地域を通るかは未定ですが、通らなかったとしても開発余地があり、より発展するのではという印象を受けました。