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 ◇ナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦 ドジャース10−5メッツ (2024年10月20日 ロサンゼルス)

 ドジャースは20日(日本時間21日)、ナ・リーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)第6戦でメッツに10―5で大勝。4勝2敗で4年ぶりにワールドシリーズ(WS)進出を決めた。「1番・DH」で出場した大谷翔平投手(30)は2安打1打点で勝利に貢献。25日(同26日)に本拠地のドジャースタジアムで開幕するWSでは、アーロン・ジャッジ外野手(32)を中心とする強力打線でア・リーグを制した名門・ヤンキースと対戦する。

 顔をくしゃくしゃにして跳びはねた。3度目のシャンパンファイト。大谷はリーグ優勝を記念する特製Tシャツに袖を通し、全身にシャンパンを浴びた。メジャー7年目で自身初、チームで4年ぶりのWS進出決定。デーブ・ロバーツ監督や激闘をともにしたナインらと喜びを共有した。

 「ここを目指してやっていた。そうなるように望んでいたけど、楽に来られたわけではない。全員が自分のやることをやって、ここまで来られたと思う」

 WS進出まであと1勝で迎えた運命の第6戦。初回に先制されたが、ドジャースタジアムの声援を背に大谷が初回の打席に立った。第2戦で無安打に封じられた変則左腕マナイアから中前打で出塁。「嫌な流れで、チームの流れを戻せるような仕事をしたいと思っていた」。

 極端なインステップで腕を下げて投げる変則左腕に対し、オープンスタンスを強めることで球の出どころを見やすくする工夫が奏功。その後のエドマンの逆転の2点適時打を呼び込んだ。

 ダメ押しも大谷だった。3点リードの6回無死一、二塁で右腕スタニクの98.4マイル(約158キロ)直球に詰まりながらも中前適時打。これで今ポストシーズン(PS)は得点圏で9打数6安打、打率・667、2本塁打、9打点とした。打点を記録した試合は6戦全勝で、チームも同シリーズで11本塁打を放つなどPS球団新の46得点。「ここまで苦しい試合も多かった。全員でつかみ取った、素晴らしいゲームが多かった」と珍しく感傷に浸った。

 25日からア・リーグ覇者のヤンキースとのWSが開幕する。移動や時差調整が必要ない本拠地からスタートできるのもプラスだ。ヤ軍にはシーズン58本塁打でジャッジがおり、54本塁打の大谷とWS史上初の50本塁打以上のスラッガー対決が実現。MVP候補同士の注目の対決だけでなく、両リーグの最高勝率球団同士の対決も20年のド軍対レイズ以来4年ぶりで、東西の名門球団同士による“真の頂上決戦”となる。

 記念撮影ではリーグ優勝のトロフィーを頭上にかざした大谷は「ずっとプレーしたいと思った場所。ワールドシリーズでも掲げられたら最高」と目を輝かせる。世界一まであと4勝。100年、200年…、いや、ベースボールが存在する限り語り継がれるであろう伝説のシーズンは、いよいよ最終章に入る。(柳原 直之)

 【大谷に聞く】

――PSで楽しくプレーできる理由

 「10月のこの時期までプレーできるのは本当にひと握りの選手たち。その時点で恵まれている。(試合を)やれていること自体が素晴らしい」

 ――PSで結果が出ない怖さ

 「出た結果に対してはもちろん受け止めればいい。それは今後の自分の糧になる。もちろん良い結果を望んでいる。そうなるように努力はする。まずはプレーすること自体が大事」

 ――3度目のシャンパンファイト。祝福の葉巻は試したか?

 「試していない(笑い)。みんなで楽しくシャンパンファイトができて何より。いよいよ最後のステージに来た実感をしているところ」

 ――夢に見てきたWSでヤンキースと対戦

 「いよいよ最後のステージに来たな、と実感している。素晴らしいチーム、強いチームなので自分たちの野球をしたい。自分たちの野球を貫き通せれば、最高の一年になると思っている」

 ≪PS得点圏打率.667≫大谷はPS11試合で42打数12安打の打率.286。11四球を選んでチームトップの12得点と1番打者としての役割を果たした。出塁17度もPSの同一シリーズの球団最多タイ記録だ。

 走者を置いた場面では成績が跳ね上がり、13打数8安打の打率.615、6四球。さらに得点圏に走者がいる場面では9打数6安打の打率.667、2本塁打、9打点と無類の強さで、自身がホームに還るだけでなく走者を還す働きでチームの勝利に貢献した。

 ≪シャンパン96本&ビール缶360本、30分で歓喜の泡≫ドジャースタジアムのクラブハウスで行われた今年3度目のシャンパンファイトでは、シャンパン96本とバドワイザーのロング缶360本が準備された。バドワイザーは地区優勝時に120本、リーグ優勝進出決定時に180本、今回はその倍の数が準備されたが、30分ほどで歓喜の泡と消えた。