週明け21日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比114.72ポイント(0.55%)安の20689.39ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が41.12ポイント(0.55%)安の7430.83ポイントと反落した。売買代金は1072億6010万香港ドルとなっている(18日前場は976億8530万香港ドル)。
 投資家の慎重スタンスがやや強まる流れ。中東地域の地政学リスクや、企業業績の見極めが様子見ムードにつながっている。中東情勢を巡っては、イスラエルのネタニヤフ首相が20日、自身の私邸を標的としたとみられる新イラン武装派組織ヒズボラのドローン(無人機)攻撃に対し、イランへの報復攻撃を協議したと伝わった。また、香港では主要な上場企業の第3四半期決算が本格化しつつある。
 ただ、下値は限定的。中国の景気支援スタンスが支えだ。寄り付き前に発表された実質的な政策金利となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」に関しては、銀行貸出の指標となる1年物LPRは3.35→3.10%(予想は3.15%)、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.85→3.60%(予想は3.65%)と予想以上に引き下げられている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中国オンラインゲーム大手の網易(9999/HK)が3.7%安、マカオ・カジノの銀河娯楽集団(27/HK)が3.6%安、旅行サイト中国大手の携程集団(9961/HK)が3.3%安と下げが目立った。
 セクター別では、中国の銀行が安い。中国郵政貯蓄銀行(1658/HK)が2.1%、中国工商銀行(1398/HK)が1.5%、中国農業銀行(1288/HK)が1.3%、招商銀行(3968/HK)が1.2%ずつ下落した。予想以上の利下げを受け、利ザヤが縮小すると不安視されている。
 中国自動車セクターもさえない。蔚来集団(9866/HK)が5.1%安、長城汽車(2333/HK)が3.4%安、華晨中国汽車HD(1114/HK)が3.2%安、小鵬汽車(9868/HK)が1.3%安で引けた。
 半面、産金セクターは高い。霊宝黄金(3330/HK)が5.0%、中国黄金国際資源(2099/HK)が4.5%、紫金鉱業集団(2899/HK)が2.6%、山東黄金鉱業(1787/HK)が2.5%ずつ上昇した。金相場の上昇が追い風。中東地域の地政学リスクが意識される中、金先物価格は21日朝方、史上最高値を更新した。
 他の個別株動向では、コンテナ生産で中国最大手の中国国際海運集装箱(2039/HK)が2.0%高。同社については、1〜9月期業績の利益3倍増見通しも材料視されている。
 一方、本土マーケットは続伸。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.82%高の3288.32ポイントで前場の取引を終了した。ハイテク株が高い。軍事関連株、素材株、自動車株、医薬株、不動産株、インフラ関連株なども買われた。半面、銀行株は安い。エネルギー株、証券株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)