空母にそっくりで大騒ぎに発展した、自衛隊所有の「ざんねんな乗り物」の名前…なにかと風当りも強かった

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世の中には残念な乗り物がある。すぐれた性能や将来性を備えていたのに、時代のニーズや期待などからズレてしまい、十分な活躍ができなかった乗り物などだ。

書籍『ざんねんなのりもの事典』には、失敗作などではなく、成功できなかったちょっと残念な乗り物がたくさん掲載されている。なかには登場(発表)当時には期待いっぱいだったのに、手のひら返しをされてしまったかわいそうな乗り物もある。

海上自衛隊の「おおすみ」型は、大きな期待を背負って登場しながらも、世間の勘違いにより、正当な評価を得られなかった側面のある残念な乗り物だ。

本当はおとなしい船

1番艦「おおすみ」の竣工時に、海上自衛隊がついに空母を保有するのか?と各方面を騒がせた輸送艦です。現在は3隻が就役。そのシルエットが災いしてか、何かと風当たりも強いようです。

この艦の上甲板は全通式、すなわち艦首から艦尾までをフラットなものとし、艦橋構造物はアイランド型と呼ばれる、上甲板の右端にコンパクトなものが備えられたものとなっています。

このスタイルが、第二次大戦中の空母に似ていたことから、「海上自衛隊に空母?」という騒ぎとなった次第。

実際のところ「おおすみ」型の飛行甲板は、固定翼機を運用するようには設計されておらず、ヘリコプターは着艦できても、戦闘機のような飛行機を発着させることはできません。

しかしながら広い甲板は、物資搭載の取り回しに優れ、ヘリコプターが発着することによって、物資の輸送を速やかに行うことができます。

帝国海軍の歴史を振り返り、空母に憧れを抱く人は少なくないことでしょうが、多少なりとも軍艦の知識があるならば、「おおすみ」級で航空戦に臨むことがいかに無謀かはすぐに理解できるでしょう。

この艦の活躍はもっとPRされてよいはずです。無理解な方面からの雑音をシャットアウトする専守防衛のために。

…つづく<1兆円がムダ金になった…日本で開発中の「国産旅客機」が、とつぜん打ち切りになった「ざんねんな理由」>でも、残念な道をたどった乗り物の一つを紹介します。

1兆円がムダ金になった…日本で開発中の「国産旅客機」が、とつぜん打ち切りになった「ざんねんな理由」