コンパクトでも室内広々!新しいフォルクスワーゲン「T-Cross」の魅力は加速の優れた999cc新型3気筒エンジンにあり
フォルクスワーゲン好きに「どこが好き?」と聞いたら、コストパフォーマンスの抜群の高さ、と答える人もいるでしょう。2024年7月に日本発売されたSUV「Tクロス(T-Cross)」のマイナーチェンジ版はまさに「これこれ!」とVW車好きを喜ばせてくれるモデルなのです。
■コンパクトでありながら広い室内スペースというパッケージングの良さ
▲ヘッドランプを含めてフロントマスクの意匠が変更され、LEDのシグネチャーランプがグリルを横切る
▲車輪をできるだけ車体の隅に押しやり広い室内スペースの実現をはかっている
Tクロスは、全長4.1mの比較的コンパクトなボディサイズと、それでいて、175cm級の人が4人楽勝で乗っていられるパッケージングの良さを持ったモデル。
スタイルもオフロード車然としていず、車高がやや高めのクロスオーバーという中庸ぶりも、市街地で乗る機会が多い人から支持される理由でしょう。
2020年に日本発売されたTクロスに、今回加えられた変更として、VWの日本法人は下記のものを挙げています。
・先進運転支援システムの強化(Travel AssistやLane Assit)
・エクステリアデザインの刷新
・内装の改良で質感向上
・新色3色を含む全8色のカラフルな外板色
たしかに、どれも実用性を重んじるTクロスのオーナーになりたい人には朗報でしょう。私など、特に日本車ではなかなかお目にかかれないカラーコンビネーションをもったファブリック張りのシートに心を奪われたくちです。
▲「スタイル」に設けられたオプション「デザインパッケージ」ではオフホワイトのソフトパッドが助手席がわにそなわる
▲「スタイル」の「デザインパッケージ」のグレイのコンビネーションシートファブリックはかなりよい印象
▲175cmの人間が2人座っていられる後席スペース
■新しいクロスTクロスの魅力とは
▲1リッターながら走りは期待以上に力強い(写真は「スタイル」)
▲スポーティな内外装を特徴とする「R-line」
実はもうひとつ、上記のリストには入っていない、新しいTクロスの魅力があります。
クルマでもっとも大事な動力性能です。999cc3気筒エンジンは、新しいタイプになり、よどみない駆動トルクによるスムーズな加速性がすばらしい気分をもたらしてくれます。1リッターしかないのに、こんなに速いの?と驚くこと請け合いです。
同時に、ハンドルを切ったときの動きが素直なのも、気持ちよいドライブ体験になるでしょう。スポーツカーのようなクイックさはありませんが、けっして鈍ではなく、ドライブしている私の意思に忠実に車体が動きます。
乗り心地も良く、ショックはほとんど伝わってこない一方、高速走行時などは、車体の不快な揺れはなく、こちらも快適。騒音も意外なほど低くて、これなら遠出もまったく苦ではない、と感じられました。
外観では、ヘッドランプとグリルとエアダムの形状が変更。リアコンビネーションランプもX字のパターンに。とりわけ、左右一直線のLEDのシグネチャーランプが採用され、ライト点灯時にこれが光って個性を強調してくれます。
▲デザインが一部変更されたリアにも横一文字のLEDシグネチャーランプが設けられた
大型10.25インチのデジタルメータークラスターがオプションで選べます。計器版に大きくナビゲーションの地図表示が可能だし、自分のスマートデバイスを使うときのために、ミラーリング機能もそなわります
「技術の民主化」とは、VWが唱えるクルマづくりのポリシーです。ずっと上の価格帯に位置する競合車と同様の性能を提供するのが、VWの使命だとか。ゴルフGTIが例にあげられています。たしかに、1975年に初代がデビューしたとき、アウトバーンでメルセデス・ベンツやポルシェと太刀打ちできることが、大きく喧伝されていました。
Tクロスでも、VWは、そして日本法人のフォルクスワーゲングループジャパンは、上記のポリシーを大事にする、としています。Tクロスが329万9000円から買えるのはすばらしいことと、試乗のあと私は思いました。これも日本法人のがんばりといいます。コンパクトなクルマを探しているひとは、いちど乗ってみるといいでしょう。
【Specifications】
Volkswagen T-Cross Style
全長×全幅×全高:4140×1760×1580mm
ホイールベース:2550mm
エンジン:999cc 3気筒
駆動形式:前輪駆動
最高出力:85kW@5500rpm
最大トルク:200Nm@2000〜3500rpm
7段デュアルクラッチ変速機
燃費:17.0km@l(WLTC)
価格:359万9000円
>> フォルクスワーゲングループジャパン T-Cross
<文/小川フミオ、写真/フォルクスワーゲン グループジャパン>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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