全国のトラック野郎ことトラックボール愛好家の皆様にとって、先日のニュースを耳にされた際には「え、もう?」と、思われたのではないだろうか。そう、Logicool親指トラックボールのハイエンド機種・MX Ergoの後継機種発表だ。

 筆者も、ずいぶん開発サイクルが短いなあと思ったクチだが、当欄で前モデルをご紹介したのは2017年。7年も経っており全然短くなかった。月日が経つのは早いな…と痛感した。さておき、7年も使っていて故障もヘタりもなく使い続けられており、わざわざ買い替えなくても良いのだが、そこはトラック野郎の矜持として試さざるを得ない。どこが変わったのか、変わらなったのかをレビューしたい。

Logicoolのトラックボール新製品「MX Ergo S」

 まず、市民権を得つつあるとはいえまだまだマイナーなデバイスであるトラックボールについて、簡単に説明したい。マウスと同じポインティングデバイスの一種で、大きな特徴は本体に大きなボールが備えられていること。このボールを親指や人差し指で動かすことで、本体を動かすことなくポインターを操作できる。一般的なマウスに比べ移動距離が少ないため身体に負担が少なく、また机上のスペースを節約できる。MX Ergo Sは親指でボールを操作して、人差し指や中指でクリック・ホイールの操作を行うことになる。

親指でボールを動かすタイプの、ハイエンドモデル

 前モデルからの「どう変わった?」は、「ボタンの静音化」だ。それ以外に大きな変更点は見当たらない。左右クリックボタンのスイッチが変更され、前モデルに比べるとほとんど音がしなくなった。前モデルはカチカチという一般的な押下感だったが、現モデルはぬめっとした押下感でほとんど音は聞こえない。静音スイッチに慣れていないとちゃんと押下できているのか不安に感じるかもしれない。といって機能面に変化はないので、ここは好みの範疇といえるだろう。

新旧モデル比較。奥が旧、手前が新

新モデルのボタンが静音仕様になっているが、外見上の変化はほぼ見られない

 そのほか、充電ポートがUSB Micro-BからUSB-Cに変わっていたり、2.4Ghz帯を使用するUSBレシーバーが最新のBoltレシーバーになっていたりはするものの、それ以外に変更点は見当たらなかった。特徴のひとつである、底面の角度調整用鉄板(20度の角度がつけられて、手首負担の軽減する)や、各種ボタンの配置や形状・材質・メーカーロゴまで、新旧をためつすがめつしてみたが変化は見つけられなかった。しいていえばトラックボールの色が変わったくらいだろう。Logicoolとしては、形状については既に前モデルで完成されているので変える必要は無い、という考え方なのかもしれない。

底面には、角度調整ができる鉄板があり、磁石で張り付くようになっている

机と水平になるようセットできるほか、

約20度傾けられるセッティングもでき、自然な手首の位置で操作が出来る

 前モデルユーザーが買い替える必要があるかと問われると、積極的に買い替えを推奨する点は見られない。筆者と同様、前モデルが何ら問題なく使えているならなおさらだ。一方、手の痛みや肩こり等に悩まされているのなら検討に値する。お値段は少々張るものの、7年以上も問題なく使えることは証明されているし、なにより健康に勝るものはないだろう。これを機に、トラック野郎デビューを検討してみてはいかがだろうか。

製品名 発売元 実売価格 MX Ergo S Logicool 1万9580円