「擬似火星」で水耕栽培で育てたレタス。Image: NASA

いつか、人類が火星に移住する日のために…。

NASAが進める擬似火星プロジェクト。テキサス州はヒューストンにあるジョンソン宇宙センターに作られた小さな擬似火星空間で生活するミッション「HERA(Human Exploration Research Analog)」が、9月23日に完了しました。参加した4人の被験者が45日間の滞在を経て、無事、「地球に帰還」しました。

18の研究ミッション

45日間で4人に課されたのは、18の研究。「宇宙空間」に閉じ込められるという状況、制限のある生活、遠隔環境下で人はどう反応するのかというさまざまなNASAの実験研究を、この結果が下支えします。

「暮らし」をイメージ

今回のHERAミッションは、実は3回目。過去のミッションでは、メンバーの物理的、行動的、心理的変化が重視された一方で、今回はさまざまな特定タスクが与えられており、それにどう対応していくかが主となりました。

タスクとは、例えば、水耕栽培で野菜を育てたり、火星のデータ収集に必要な人工衛星を組み立てたりなど、より火星で「暮らす」イメージを強めた任務。火星をお散歩する体験にはVRも活用。メンバーがより宇宙のマインドにフォーカスするのに役立ったということです。

また、期間中には、メンバーと司令室とのコミュニケーションにラグも発生。このラグは意図的なもので、最終的には実際の地球と火星で起こる5分の通信ラグのシミュレーションが行なわれました。NASAいわく、「これによって、メンバーがどう自立性を高め、タスクを進めていくかを調査するのも科学者の研究の1つだった」といいます。

Image: NASA/BILL STAFFORD

HERA参加メンバーは、Sergii Iakymov氏、Sarah Elizabeth McCandless氏、Erin Anderson氏、Brandon Kent氏。

NASAは、実際の火星に滞在するミッションを2030年から2040年に予定。その前に、一足早く擬似火星を体験したい人、NASAはミッション被験者を募集していますよ。

Source: NASA