29日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前日比115.62ポイント(0.65%)安の17576.83ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が58.19ポイント(0.93%)安の6167.80ポイントと続落した。売買代金は576億5260万香港ドルとなっている(28日前場は484億1600万香港ドル)。
 米ハイテク株安が投資家心理を冷やす流れ。米半導体大手エヌビディアが時間外取引で急落し、ナスダック100先物も下げて推移している。AI(人工知能)ブームをリードするエヌビディアの5〜7月期決算は予想を上回り、自社株買いも発表。ただ、8〜10月期の売上高見通しが投資家の期待に応えられなかった。中国の景気懸念や、対外関係の悪化も引き続き売り材料視されている。中国製EV(電気自動車)を巡っては、カナダ政府が新たな関税を課すと発表し、欧州連合(EU)も追加関税の最終案を公表。米国も輸入関税を引き上げる予定だ。中国政府は猛反発し、対抗措置を打ち出す姿勢を示している。また、主要企業の決算報告が香港で終盤に入る中、業績不振の銘柄が急落したことも全体相場の重しとなった。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、新興EVメーカーの理想汽車(2015/HK)が10.2%安、電子機器製造受託サービス(EMS)中国大手の比亜迪電子(BYDエレクトロニック:285/HK)が8.3%安、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が6.6%安と下げが目立った。理想汽車については、4〜6月期決算の5割減益が嫌気されている。BYDエレクの中間決算は0.1%増益にとどまり、投資家の失望を呼んだ。
 セクター別では、中国の銀行が安い。交通銀行(3328/HK)が6.1%、中国農業銀行(1288/HK)が4.6%、中国建設銀行(939/HK)が4.1%、中国工商銀行(1398/HK)が3.8%ずつ下落した。交通銀行の中間減益がセクター全体の逆風となっている。同行の減益は、コロナ禍以降では初めてだ。
 自動車セクターもさえない。上記した理想汽車のほか、小鵬汽車(9868/HK)が6.3%安、蔚来集団(9866/HK)が6.0%安、比亜迪(BYD:1211/HK)が2.2%安で引けた。BYDの中間決算は2割増益と堅調だったが、好感する買いは限定されている。
 半面、レストランチェーンや酒造の飲食関連は高い。海底撈国際HD(6862/HK)が4.9%、周黒鴨国際HD(1458/HK)が3.5%、海倫司国際HD(9869/HK)が2.8%、華潤ビールHD(291/HK)が4.6%、青島ビール(168/HK)が3.0%ずつ上昇した。
 他の個別株動向では、飲食ポータルサイトの美団(3690/HK)が9.5%高。同社は昨日引け後、4〜6月期決算の調整後利益8割増と自社株買い計画を発表した。粉ミルク中国最大手の中国飛鶴(6186/HK)が11.5%高。同社の中間決算は1割増益となり、増配の方針も明らかにした。
 一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.45%安の2824.62ポイントで前場の取引を終了した。銀行株が安い。エネルギー株、公益株なども売られた。半面、消費関連株は高い。ハイテク株、医薬株も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)