28日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前日比173.74ポイント(0.97%)安の17700.93ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が84.15ポイント(1.33%)安の6222.21ポイントと3日ぶりに反落した。売買代金は484億1600万香港ドルとなっている(27日前場は468億3810万香港ドル)。
 投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中国と西側諸国の関係悪化や中国の景気先行きが不安視されているほか、米半導体大手エヌビディアの決算動向も気がかり材料となった。AI(人工知能)ブームをリードするエヌビディアは28日の米市場引け後(日本時間29日)、四半期決算を報告する。ハンセン指数は前日まで続伸し、約1カ月半ぶりの高値水準を更新していたとあって、利食い売りも出やすかった。主要企業の決算報告が香港で終盤に入る中、業績不振の銘柄が急落したことも全体相場の重しとなっている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中国ミネラルウォーター最大手の農夫山泉(9633/HK)が11.6%安、自動車ディーラー大手の中升集団HD(881/HK)が6.7%安、中国政府系の華潤電力HD(836/HK)が5.7%安と下げが目立った。農夫山泉については、販売の伸び悩みが懸念されている。同社の中間決算では、売上高が8.4%増にとどまり、前年通期の28.4%増から大幅に減速した。
 セクター別では、自動車関連が安い。上記した中升集団のほか、理想汽車(2015/HK)が5.1%、浙江零ホウ科技(9863/HK)が4.4%、北京汽車(1958/HK)が4.3%ずつ下落した。
 セメントや鉄鋼の素材セクターも売られる。中国建材(3323/HK)が6.3%安、安徽海螺水泥(安徽コンチセメント:914/HK)が4.7%安、華潤水泥HD(1313/HK)が3.8%安、鞍鋼(347/HK)が3.5%安、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が2.9%安で引けた。中国建材が公表した中間決算は赤字に転落。安徽コンチセメントの中間業績は48%減益だった。
 半面、小売関連の銘柄はしっかり。ハイパーマーケットチェーンの高キン零售(6808/HK)が3.1%高、百貨店チェーン中国大手の百盛商業集団(3368/HK)が1.9%高、免税店運営の中国旅遊集団中免(1880/HK)が1.5%高で前場取引を終えた。
 他の個別株動向では、江蘇省拠点の翰森製薬集団(ハンソー・ファーマシューティカル・グループ:3692/HK)が8.7%高。同社の中間決算は利益倍増のうえ、配当の大幅増額も予定した(前年同期は0.0707香港ドル、今回は0.2010香港ドル)。ほか、スポーツシューズ生産・販売の安踏体育用品(2020/HK)が4.1%高。同社の中間決算は63%増益となり、配当の増額方針も示した。あわせて自社株買い計画も明らかにしている。
 一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.22%安の2842.48ポイントで前場の取引を終了した。酒造株が安い。エネルギー株、銀行株、医薬株なども売られた。半面、公益株は高い。軍事関連株、インフラ関連株、不動産株も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)