酒に酔っ払って、ついつい…

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 酒を飲んで酔っ払った時に、片思い中の相手や親しい友人にLINEで、我に返った時に思わず赤面してしまうようなメッセージを送ってしまった経験はありませんか。また、ついつい気が大きくなって必要のない物や高額な物を買ってしまったという人もいるのではないでしょうか。このような行動を、なぜ、してしまうのか、精神科専門医の田中伸一郎さんに聞いてみました。

アルコールで理性が鈍った状態に “対策”は…

Q.ずばり、酔っ払って恥ずかしくなるようなLINEをしてしまったり、必要のない物を買ってしまう心理とはどのようなものなのでしょうか。

田中さん「人間が『酔っ払った』という時には、アルコールの脳機能への影響によって理性の働きが鈍った状態になります。そうなると、感情や意思・欲動をコントロールできなくなって、『恥ずかしいメッセージ』を送ってしまったり、ネットで必要のない物をついつい買ってしまったりするのです。

こうした理性が働かなくなった状態は、心理学・医学の言葉では『脱抑制』といいますが、アルコールなどの化学物質が原因の場合、その時の記憶まで失わせることがあり、注意が必要です。すなわち、脱抑制の状態でやってしまった言動をほとんど覚えておらず、翌朝、スマホなどの履歴を確認して恥ずかしい思いをするということが起こるのです」

Q.お酒に酔っ払って同じ過ちを繰り返す人もいます。なぜ、同じ失敗を繰り返してしまうのでしょうか。

田中さん「確かに、お酒を飲み過ぎて酔いが覚めた時に恥ずかしい思いをするような言動を繰り返す人がいますね。ただの一度のことならば、何か仕事などでストレスフルなことがあって、ついお酒が進んだり、いわゆる悪酔いしたりしたのかもしれません。しかし、同じ過ちを何度も繰り返すとなると、いわゆる酒癖が悪い人ということになるでしょう。原因としては、アルコールが脳機能にまで作用して脱抑制と記憶の欠落が同時に生じていることが考えられます。

やはり飲酒はほどほどにしてください。自身の適量以上には飲まない(飲み過ぎたら次回の誘いは断る)、何曜日と何曜日は休肝日とするなどのルールを設定し、それを家族や周囲の人に公言しておくことをお勧めします。とは言っても、ついついマイルールを破ってしまうのが人間なのだと思いますが…」

 酒の席が楽しいとついつい進んでしまいますよね。ですが、酔っ払った後に後悔しないよう、酒量や酔い加減をコントロールして感情や欲望を抑制することも重要ですね。