医師が教える「菓子パン」を食べ続けると身体に起こる恐ろしい変化
安くて手軽に買えてお腹にも溜まるので、ついつい食べてしまいがちな菓子パン。でも、菓子パンや惣菜パンにはさまざまな添加物が含まれているため、食べすぎると健康に悪影響を及ぼす危険性も…。そこで今回は、菓子パンに潜むリスクについて、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
菓子パンは“超加工食品”である
菓子パンや惣菜パンを食べることの一番のリスクは、超加工食品であるということ。
超加工食品とは、調理済みの食品をさらに加工して、添加物や人工甘味料を加えて作られた食品です。
菓子パンは精製された小麦に砂糖を入れて、それを原材料にして保存料、乳化剤、着色料、香料など、さまざまな添加物を入れていきます。
これらの添加物は、菓子パンの風味や味を良くして日持ちをさせることが目的なので、健康のために入れているものではありません。
精製された小麦粉は食物繊維、ビタミン、ミネラルが削られてしまっていますし、糖分、脂質、カロリーが多いので、肥満や糖尿病、生活習慣病のリスクを高めます。
また、菓子パンはマーガリンやショートニングを使っていて、これらの油はトランス脂肪酸を多く含んだ油です。
トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増やしてHDLコレステロールを下げるため、脂質のバランスを崩してしまい、心疾患のリスクを高めるものであることがわかっています。
こういったものがてんこ盛りに入っているのが菓子パンなのです。
菓子パンは“食品化学の結晶”!?
ほかにも添加物としてリン酸塩が入っていて、これは過剰摂取するとカルシウムの吸収が阻害されてミネラルバランスが崩れます。
乳化剤は発がん性や生殖機能への影響、腸の炎症を引き起こすものとして近年認識されていますし、シュウ酸カリウムは発がん性を指摘されていますが、パンの風味を増すために一部のメーカーでは使われています。
また、ソルビン酸カリウムは細胞の遺伝子を突然変異させてしまう危険なものであることがわかっていますし、アスコルビン酸はビタミンCと一緒に入れると、発がん性物質のベンゼンが出てくることがわかっています。
あと、小麦はほとんどの場合、輸入小麦を使っているので、収穫後の小麦に大量の農薬が散布されているものが多いです。
酵母エキスは酵母の細胞を壊して分解して得られるエキスですが、実際は旨味成分のアミノ酸。基本的にはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸は、組成の違う味の素のようなものなのです。
つまり、菓子パンは食品化学の結晶のようなもので、全く違う原材料から全く形の異なるものを作り出した超加工食品と言えます。
加工食品は“認知障害や脳卒中”にも影響する
2024年に『Neurology』という雑誌で、加工食品と脳の認知機能、脳卒中のリスクに関しての報告がされています。
45歳以上の3万人以上の白人と黒人を集めて研究をしたところ、超加工食品の摂取量が約10%増すごとに認知障害を発症するリスクが16%高まることがわかりました。
逆に、加工していないものや最小限の加工をしたものしか摂らないような生活をすると、認知のリスクが12%下がるということが報告されています。
同様に脳卒中に関しては、超加工食品を摂取すると脳卒中のリスクが8%上がることも報告されています。
一方、あまり加工されていないものしか食べない人は、脳卒中のリスクが9%低いことも示されました。
菓子パンは定期的に食べてはいけない
超加工食品に分類される食品のほとんどが、植物栄養素や食物繊維が欠落していて、体の中が細胞の健康を維持したり、体の中の代謝のプロセスをサポートしたりするような栄養素が入っていません。
体のシステムに影響を与えるだけではなく、細胞が生まれて死んでいくターンオーバーに影響を与えることで有害になり得る成分がたくさん含まれています。
どうしてもパンを食べたいのなら、なるべく自分で作るか、原材料にこだわっていて国産小麦を使っているパン屋さんから買ってくるか、バターをちゃんと使用して塩の種類にもこだわっているようなパン屋さんから買うほうがリスクは少ないです。
惣菜であれば、自分で用意したものを間に挟んで食べればリスクも下がります。
菓子パンはあくまでも緊急的な「これしか食べ物がない」という場合に食べるもので、定期的に食べるものではないということを認識しましょう。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。