【猛暑】熱中症「翌日に発症」パターン、実際に「起こり得る」…内科医に聞いて分かった“兆候”の見抜き方
連日、暑さが厳しい8月。熱中症に警戒しなければならない日々が続く中、「暑い場所で過ごした当日は元気だったのに、翌日、熱中症みたいな症状が出た」といった声が聞かれることがあります。暑い場所で長時間過ごしていて、特に熱中症らしき症状が出ない場合はつい油断してしまいそうですが、その日の夜や翌日といった“時間差”で発症するケースもあるのでしょうか。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんが解説します。
軽度の脱水状態に「気付かない」ことも
厳しい暑さの中、「熱中症にならないように気を付けている」人は多いことでしょう。しかしながら、仕事やレジャーなど、「暑い場所」で長時間過ごす日も少なからずあると思います。
その日は熱中症の症状が出なくて安心していたのに、翌日になってから症状が現れた――。このような“時間差”で発症するケースはそれほど多くはないと思いますが、「起こり得る」といえます。暑い場所で過ごした当日、脱水状態や軽い熱中症になっているのに本人がそれに気付かず、夜間や翌日になって症状を自覚し、初めて熱中症が発覚するケースです。
暑い場所で過ごした後、軽度の脱水状態になっているのに症状に気付かない場合、意識して水分摂取することがないため、時間がたって脱水の状態が進んでから、熱中症の症状が出ることが考えられます。
そもそも熱中症の診断は難しく、暑い環境に「いる」、あるいは「いた」後にめまいや頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感、意識障害など、さまざまな症状があるときに疑い、他の病気の可能性が除外された場合に「熱中症」と診断します。
つまり、多くは「熱中症だろう」という推測で診察されていることが多く、暑い環境にいた翌日に頭痛が起こった場合や、軽い胃腸炎で吐き気がある場合、熱中症ではないのに「暑い環境にいた後だから熱中症だろう」と診断されることも考えられます。こうした場合を含めて、「時間差で起こる熱中症が少なくない」という印象になっているのではないでしょうか。
ただ、先述の通り、暑い場所で過ごした翌日、熱中症のような症状を自覚するケースは実際に起こり得ます。その兆候をなるべく早く見抜くために、暑い環境で過ごした日は、特に症状がなくても、自分が脱水状態になっていないかを確認した方がよいでしょう。脱水のときに起こりやすい次の状態がないかどうか、注意して確認してみてください。
【脱水のときに起こりやすい状態】
・トイレの回数や量が減っている
・皮膚や口の中が乾燥している
・皮膚をつまんだときに、なかなか皮膚が元に戻らない
熱中症の症状「再発」もある?
翌日の熱中症を予防する方法は、基本的に、通常の熱中症予防と同じと考えてください。暑い環境にいるときに、こまめな水分補給をすることです。加えて、その日の夜間にも意識して水分補給しておくと、翌日の熱中症はより防ぎやすくなるでしょう。
なお、ネット上には「一度治まった熱中症の症状が再発した」という声も一部あるようですが、これは「あり得る」程度と考えてよいと思います。
熱中症になった後、水分補給や点滴などで脱水状態やミネラルのバランスが改善されて症状が治まったのであれば、また暑い環境に置かれない限り、再発することは考えにくいです。しかし、脱水状態などが本当は改善されていないのに、少しの水分補給や体の冷却で「症状が治まったように感じただけ」であれば、症状が再度出てくる可能性はあります。
この場合も、やはり重要なのは水分補給です。熱中症の症状が出たときに、しっかりと水分補給をして、脱水状態を改善しておくことが大切です。まだまだ暑い日々が続くと思われるので、不調の有無にかかわらず、水分補給や暑さ対策は欠かさずに行いましょう。