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パリ五輪の体操女子団体で、日本は、飲酒喫煙で出場が叶わなかった宮田笙子選手(19歳)を欠いた4人で決勝に進出し、8位という成績を収めた。選手寿命が短いとされる競技で大舞台を逃した彼女は何を思っているのか。

20歳未満の「成人」による飲酒喫煙の是非は国内外で大いに物議を呼ぶことになった。そこで弁護士ドットコムニュースが、18歳19歳の飲酒喫煙の是非と、宮田選手の代表辞退について意見を募ったところ、およそ150人の読者からメッセージが寄せられた。

その中で、18歳19歳での喫煙については「許すべき」と「許すべきでない」がほぼ半数で並んだ。

また、宮田選手の代表辞退の結果を適当とする回答は、「重すぎる」という回答の倍近くとなり、多くが今回の結果を受け入れた形だ。しかし、いずれの立場においても、宮田選手個人に「辞退」という形で責任を取らせるやり方には疑問の声も相次ぐ。

高齢になってくると「自分たちは未成年で飲酒喫煙は当然だった」としながらも、日本代表という立場ではルール破りは許せないという意見もみられた。

●「代表辞退は当然」

「代表辞退」の結果を肯定する主な意見としては、法律や規則に違反しているから当然というものだった。

「体操協会の選手規定には法令の遵守と違法行為を行わない、20歳以上でも喫煙は原則禁止と定められている以上は辞退して当然です。かわいそうとかの感情論は不要で悪き前例は作るべきではありません」(40代男性・北海道)

中学校の教員も結果を支持する。

「喫煙、飲酒が一度だけなわけがない。常習性のある人は大抵そう言う。スポーツできりゃなんでも許されると思いがちなスポーツのできる生徒をたくさんみてきました。看板の重さをよく感じ、自分自身を見つめ直してほしい」(54歳・教員・京都府)

また、娘がジュニアアスリートとして体操競技に取り組んだという母親の女性も「前例を作ることは許されない」と賛同した。

「日の丸を背負うということは、支えてくれたコーチやご家族、友人、行けなかったたくさんの選手達の思いも背負って世界に行くわけです。重責があるからといって喫煙、飲酒すれば今後の体操競技を習う子ども達の手本にもなりません」(40代女性・埼玉県)

「当時18歳の息子が喫煙を原因として高校を退学した」という女性も判断を肯定しながら、家族の体験を語った。

「規則の厳しい学校の寮生活で人間関係などに悩むと、バレるようにわざと喫煙して、家に帰る手段として使われていたようです。24時間の団体生活で、携帯電話なども管理され、通学生のように息抜きが出来ず、ストレスから逃げ出す生徒も多い。

学校でも飲酒喫煙は校則ではなく法律だと教えなければ勘違いする生徒も出てくる。うちの子のように『自己で責任取る。親に迷惑かけてないから自由にさせて。自己選択の行動を否定しないで』と主張する18〜19歳が増えました」(60代女性・東京都)

「法やルールに当てはめると妥当だと思う。知りたいのは、パリへ行かせてあげたいと体を張って尽力した人はいなかったのか。これがいるのといないとでは、宮田さんのこれからの人生において違いが出てくると感じる」(73歳男性・千葉県)

特徴的だったのは、未成年で飲酒喫煙を経験していた人たちからも、日本代表であるからにはルール厳守すべきという意見が届いたことだった。

「私は18歳高卒で就職してから飲酒は普通にしていました。失恋した時に沢山飲みました。別の時には怖い思いもして、危なかったです。しかし、日本代表としてはダメです。守るべきを破っては、辞退して当然です」(60歳女性・東京都)

「処分は当然と考えますが、管理者監督スタッフの責任が問われていないのが不思議でなりません」(60代男性・千葉県)

宮田選手の処分の是非と同様に、管理監督者の責任は問われないのかという疑問の声は、双方の立場から寄せられた。

●「代表辞退は重すぎる」

ここからは、宮田選手の処分は「重すぎる」と考える人たちの意見を紹介する。

小学校のPTA会長からは「宮田選手の場合は、なぜ『辞退』で『処分』ではないのでしょうか? 大人が責任を負わず、若い選手に責任を押し付ける最悪な対応です」として日本体操協会への痛烈な批判が飛び出した。

「18歳から『成人』であれば、タバコも飲酒も自分の責任において自由にすべきです。私は、心からの謝罪があれば、辞退は必要ないし、オリンピックで活躍してほしかったです(46歳男性・PTA会長・愛知県)

宮田選手の「辞退」という形で今回の五輪欠場に至ったことを問題視する人も少なくなかった。

「現行法に基づくと、罰せられるのは飲酒喫煙を勧めたあるいは売った人なので、代表辞退は重い。行動規範に反するのであれば、代表を剥奪すべきで、辞任というのは圧力があったのだと思います。宮田選手の監督者こそ辞任すべき」(40代男性・神奈川県)

「若い頃は、高校を卒業したら飲酒も喫煙も解禁で、本音と建前は違うという余裕があった。国が違えば合法となる飲酒・喫煙の程度で、代表辞退に追い込まれた選手は本当にかわいそう。自分が責任を取らなくても済むように、そういった判断を下した周囲の大人たちは本当に情けない」(57歳男性・山口県)

法律上はともかく、未成年での飲酒・喫煙は当たり前という指摘もあった。

「タバコ吸っている人で20歳を過ぎてから吸い出した人なんていないと思います。酒もです。本音と建前の日本人らしいくだらない事案です」(50代男性・神奈川県)

「ただ脱退させるのではなく、本人も心の底から反省し償える参加の仕方もあったと思います」(60代女性・大阪府)

今回の結論に至るまでの議論を明らかにしてほしいという意見も。

「酷だなと感じた。厳重注意で済むこと。この懲罰は社会に向けてのけじめ? 見せしめ? 彼女のこれまでの競技人生を思うと重すぎる。この結論に至るまでの討論の中身を知りたい」(60代女性・神奈川県)

また、どの競技にも言えることだが、五輪の日本代表アスリートに限らず、メディアや国民がアスリートにクリーンであることを過度に期待したり、求めたりする風潮に疑義を持つ声もあった。

「スポーツ選手に廉潔性を求めるのは違和感がある」(20代男性・東京都)

●18歳19歳の飲酒は解禁すべき?

今回の企画では、18歳19歳の飲酒・喫煙を解禁すべきかも尋ねた。

「許すべき」と考える人の多くは、成人年齢と同様にすべきという意見に統一された。

「成人年齢が18歳になったのだから、飲酒・喫煙もできてよい。飲酒・喫煙と健康の関係について学校で学べばよい」(60代女性・神奈川県)

「18歳19歳の喫煙・飲酒は合法化すべき。ただし、高校生は明確に禁止すべきです。一般的に18歳で高校を卒業すると、社会人・大学生など進路はまちまちですが、基本的に喫煙・飲酒が許される20歳以上の人の社会に含まれていきます。端的に言えば、飲酒・喫煙が可能な年齢グループにくっついているのか、くっついていないのかで判断するのが明確です」(60代男性・愛知県)

18歳19歳の飲酒喫煙に反対する人たちは、やはり健康上の問題を指摘した。

「身体のためにも飲酒喫煙は20歳以上のままで」(50代女性・神奈川県)

「飲酒喫煙は低年令から始めたら早期に依存症になりやすいというデータがあるので20歳未満禁止には意味がある」(60代女性・東京都)

回答者の中でも特に50代を超えると、20歳以前に飲酒喫煙を経験したという人が目立った。

「1959年生まれで、51年間吸い続けています。昭和の時代なら普通にありました。飲酒は父に勧められて小6から飲み始め、喫煙は中2から昼休みに学校横の同級生の家に集まって吸い始めました」(65歳男性・石川県)

「私も20歳未満で、お酒を飲んでみたり、喫煙も経験しました。ただ、興味本位のみです。宮田選手は全国の民衆からの期待がある中で、プレッシャーや、ストレスもあったのだろうと思います。ちゃんと、辞退されたことはよかった。未成年の飲酒喫煙は楽しい思い出です」(70代女性・岡山県)

「中学生の私に父がビールを飲ませました。自分の飲める量は把握しておくこと。社会に出たら危険があるから、アルコールをよく知っておくようにと言われました。弟達は飲まされませんでした。私が女だったからなのではと思います。それに関しては私は感謝しています。喫煙も未成年の頃から堂々としていました。悲しい事、悔しい事を誤魔化すためでした。ま、当時はユルユルでしたので」(58歳女性・山梨県)

●寄せられた声

今回の企画は弁護士ドットコムのLINE登録者からの回答の一部をまとめたもの。

18歳19歳の飲酒喫煙の是非についての回答は、「許すべき」という考えは24人、「許すべきでない」との考えを示したのは23人だった。

また、宮田選手の代表辞退の結果を適当と答えたのは60人。「重すぎる」とする考えを示したのは33人だった。