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西武新宿線と都営地下鉄大江戸線が乗り入れる中井駅(東京・新宿区)近くの高架下にある「ベンチ」がネットで注目を集めている。

3人が並んで座れる一見何でもない形状をしているベンチだが、道路上の規制や誘導などで使うポール型コーンががっちりとくくりつけられており、3席のうち2席が座れないようになっている。

SNSなどでは「意地悪ベンチ」とも呼ばれ、批判の的となっている。7月14日には、ベンチの画像とともに「もはや『意地悪』の限度を超えている」と記した投稿がXで話題となり、「ベンチとしての用をなさないね」「ここまでやるなら撤去すれば」といった声があがっていた。

●溜まり場には“おあつらえ向き”の場所

ベンチのある現地は、高架下で設置物がほとんどない開けたスペースがある。編集部が訪れた昼間の時間帯には、若者が数名集まってダンスの練習をしている光景が見られた。

広めのスペースのため、集まろうと思えば数十人単位も不可能ではなさそうだ。通行人はさほど多くなく、「溜まり場」向きの場所と言えなくもない。

ベンチは2脚(1脚3席)あり、計6席のうち4席をふさぐ形でポール型コーンが設置されていた。2脚のベンチでもっとも離れた端の席だけが元のままとなっており、「利用者同士は近くには座らせない」という意図を感じられるような配置となっている。

新宿区「​​近隣からは好意的な意見いただいている」

かなり特異なベンチに映るが、なぜポール型コーンを設置したのか。

新宿区みどり土木部道路課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、設置のきっかけは「近隣住民からの苦情」と説明する。

「飲酒や喫煙などしながら(ベンチやその周辺で)たむろしている人がいる、夜中も騒いでいる、という苦情が近隣からあって、『ベンチを撤去して欲しい』と要望されました」(担当者)

区としては、せっかく設置したベンチをいきなり撤去するのではなく、他の解決策を模索しようと、警察と連携して夜の巡回などを実施した。

しかし、状況が改善しなかったため、「やむを得ず、暫定的にベンチの一部を使用制限する趣旨で、2023年9月8日にコーンを設置した」と話す。区内で同様の対応をとったベンチは他にないそうだ。

設置後に「『ベンチに座れない』といった苦情は来ていない」ようで、近隣住民からは区が対策したとして「好意的な意見は結構いただいている」(担当者)。暫定的な措置だが、コーンの撤去などについては「現時点、特段決まっていない」という。