『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』©2024 MARVEL.

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 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は7月12日に全世界で解禁になった、『キャプテン・アメリカ』映画第4弾にして、新『キャプテン・アメリカ』映画第1弾の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の予告編解説です。

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「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」日本版特報 まず今回の予告編解禁をもって邦題と日本公開日が決まりました。邦題は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、公開日は2025年2月14日。原題は『Captain America: Brave New World』。全米公開日は2025年2月14日ですから、日米同時公開というわけです。「ブレイブ・ニュー・ワールド/Brave New World」とは、新たな世界に勇気をもって立ち向かう……というような意味でしょうか?

 予告編の解説の前に、本作についてわかっていることをあげておきましょう。

 まず、この映画における“キャプテン・アメリカ”は、これまでのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に登場したキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースではなく、スティーブからその役割を受けついだサム・ウィルソンです。

 サムは映画『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』に登場。この時は人工翼のフライトスーツを着て、通称「ファルコン」と呼ばれるヒーローとして活躍します。

 映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』においてスティーブ・ロジャースが“キャプテン・アメリカ”としての役割を退き、サムにキャプテンのシンボルである盾を渡します。

 『エンドゲーム』でサムが“キャプテン・アメリカ”を襲名したと思いきや、いろいろな事情があり、なかなか彼を新キャプテンと世間は認めてくれない。しかし様々な事件を経てサムは“キャプテン・アメリカ”になることを決意、世間に表明します。このくだりはドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で描かれました。

 なおこの時のサムはワカンダで作られた(つまり超金属ヴィブラニウムの技術を応用したと思われる)白いスーツを着ています。またサムにはホアキン・トレスという友人、相棒ができました。

 さらに『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では衝撃の事実が明かされます。スティーブ・ロジャースが行方不明だった時代、1950年代の朝鮮戦争時に活躍した“キャプテン・アメリカ”が存在したのです。政府はイザイア・ブラッドリーという黒人に超人血清を投与し、密かに戦わせていたのです。しかし人体実験的なひどい仕打ちをされ政府に失望、隠居生活を送っていました。サムはこの悲劇の人物の名誉を回復するため奔走しました。

 映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は今までの『キャプテン・アメリカ』映画、そして『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に続く流れですが、もう一つMCU作品として本作につながるラインがあります。それはハルク映画の1作目『インクレディブル・ハルク』です。この映画に登場したハルクことブルース・バナーの恋人ベティ、ハルクの血を浴び変異したと思われるサミュエル・スターンズ、そしてベティの父でハルクを追うロス元将軍が本作に登場します。さらにMCUのハルクはキャプテン・アメリカの超人血清を再現しようとして生まれた経緯があります。つまり本作はハルクの要素、おそらく超人血清をめぐる物語がポイントになりそうです。この超人血清をめぐるストーリーは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でも描かれていました。

 このロス元将軍はのちに軍を退き、政府の要職につきます。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『ブラック・ウィドウ』などにヒーローたちをあまり快く思わない政府側の要人として登場しました。今回彼は米国大統領になったという設定で登場します。演じるのはなんとハリソン・フォード! 今までロス役はウィリアム・ハートでしたが、彼が2022年に亡くなったため今回からハリソン・フォードが演じます。

 さらに、『ブレイキング・バッド』『ザ・ボーイズ』『マンダロリアン』のジャンカルロ・エスポジートも何らかの役で登場します。

 以上のことを頭に入れつつ予告編解説です(ここに書いてある秒数は日本のマーベルの公式YouTubeでアップされている予告編の秒数に準じています)。

 まずこの予告編では、サムがキャプテン・アメリカとして世の中に認められ、ホワイトハウスに招待されたというところから始まります。それを迎えるのがハリソン・フォード演じるロス大統領です。ここでロスは「君と私は過去に衝突したが」と切り出します。これは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でサムが反政府側についた、つまり当時のロス長官と敵対する陣営にいたことを表現しています。そしてサムに「キャプテン・アメリカを(つまりサムを)再び軍に迎えたいと思っている」と。ここから波乱な展開が予想されます。

 なぜなら『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』において、その時のキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースは、「ヒーローは政府・政治の駒になってはいけない」という考えでしたから。このやりとりでサムこと新キャプテン・アメリカがロスとまた対立することを予感させます。

 そして、日本版予告編36秒目あたりの「意見の相違があった場合は?」というセリフの時に映るこの女性、気になりますよね。その後に出てくる銃を構えたサングラスの男。それがジャンカルロ・エスポジート演じるヴィランです。役名はまだわかりませんが、ファンの間ではS.H.I.E.L.D.のエージェント、G・W・ブリッジではないかと言われています。このキャラだとしたら、もともとX-MEN系のコミック『X-フォース』でデビューしているし、パニッシャーとも関わるエピソードもあるので今後のMCUでも重要なキャラになるのではないでしょうか。

 また、39秒目からミサイルが飛ぶシーン。これがファンの間で大きな議論になっています。なにかミサイルが海に立つ巨石のような場所のそばを飛んでいますよね。この巨石は『エターナルズ』のラストでセルシがティアマトを変化させたものではないかと。つまり『エターナルズ』とリンクしているわけです(1分39秒後にサムが飛ぶシーンでも背景的に出てきます)。

 47秒目、ここで衝撃の展開が。サムが救済した、忘れさられた幻の超人兵士イザイアがロス大統領に向け銃を撃ちます。イザイア一体どうした?

 そして、1分8秒目に映る謎の実験室。これはバッキ―ことウィンター・ソルジャーの覚醒の時に使っていた部屋を思い出しますよね。

 続けて1分10秒目、サムに「罠が?」と言う人物。この前のシーンでもちょくちょくサムの横にいますが、これがサムの相棒ホアキンです。

 1分12秒頃、意味深に電話をかけている人物。これはロス大統領でしょうか。誰が電話しているか以上に、誰に電話をかけているのかが気になりますね。

 さらに1分14秒、サムの隣に日本人らしき人物がいます。演じているのは平岳大さんです。日本の総理大臣オザキ氏というキャラを演じるようです。

 1分22秒目、この黒人女性はワカンダ出身っぽいですが、ワカンダのドーラ・ミラージュは銃を使わないから違うかな?

 1分26秒目、ロスは「(サム=君は)スティーブ・ロジャースではない」と言いますが、これはちょっと意味深で、スティーブは超人血清を打たれたスーパーソルジャーなので実は超人です。それに対してサムは普通の人間です。要はロスはサムに対し、「君は超人でなく、普通の人間じゃないか」と言っているのかもしれません。これに対し「その通り、俺は俺だ」と決意のセリフ! カッコいいです!

 1分38秒目、サムのコスチュームの後ろ姿です。この前のシーンでもサムのコスチューム姿が出てきますが、これは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の最後で来ていた白ベースのコスチュームとは異なり、よりスティーブ・ロジャースの着ていた青ベースのキャプテン・アメリカのコスチュームに近いカラーリングになっています。このシーン、背景の桜がきれいです。

 1分43秒目のスカイアクション、ワクワクしますね。ジェット機対サムですが、このシーン、人工翼をもったヒーローが2人出てきます。ひとりは背中にあの盾を背負っているのでサム=キャプテン・アメリカですが、もう1人はホアキンです。そうホアキンは“ファルコン”の名とポジションを襲名し、サムとバディを組むのです。

 1分52秒目、この予告で大騒ぎになったシーン! キャプテン・アメリカの盾をたたきける赤い肌の怪人。これはレッドハルクと呼ばれるキャラで、コミックではロスがハルク化した姿です。つまり! この映画ではハリソン・フォードが赤いハルクに変身するというわけです。もしかするとイザイア襲撃の53秒目あたりからのシーンでロスは凶弾に倒れ、その命を取り留めるため超人血清を打ち、レッドハルクになった! という設定でしょうか。発表されたキービジュアルは、キャプテン・アメリカの盾を赤い指(つまりレッド・ハルクの指)がガシッと掴んでいます。キャプテン・アメリカ対レッドハルクのバトルが最大の見せ場でしょうか?

 もうすぐ公開の『デッドプール&ウルヴァリン』の次に劇場で公開されるMCU映画が、この『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』となります。もしかすると『デッドプール&ウルヴァリン』の中に、この『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に繋がる伏線が出てくるかもですね。

 ただ、『デッドプール&ウルヴァリン』のトーンとはまるで違うシリアス感。こういう幅がMCUの良さですよね。MCU屈指のサスペンスアクション『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のような傑作になる予感がします。新生キャプテン・アメリカの冒険が今から楽しみです!(文=杉山すぴ豊)