二宮和也

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TBS「ブラックペアン2」好発進

 嵐の二宮和也が主演するTBS系日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」(日曜午後9時)が好発進となった。7日放送の初回平均世帯視聴率は11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と4月期の「アンチヒーロー」、昨年7月期の「VIVANT」を上回り、同局関係者を喜ばせている。2018年4月期に同じ二宮が主演した日曜劇場「ブラックペアン」の続編で「シーズン1」同様、クセの強い天才外科医が主人公だ。※以下、ネタバレを含みます。

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 連続ドラマを分析している放送ライターがこう話す。

二宮和也

「二宮はシーズン1で天才的な医療技術を誇る外科医・渡海征司郎を演じましたが、今回のシーズン2では、人と金を天秤にかける悪魔のような心臓外科医・天城雪彦を演じています。2人の外見は瓜二つという設定のため、俳優の竹内涼真演じる外科医の世良が天城を見て『ぼくの指導医(渡海)にあまりに似すぎていて』と話しかける台詞が登場するほどで笑えました」

 第1話は、東城大学医学部付属病院長の佐伯清剛(内野聖陽)からオーストラリア・ゴールドコーストで開催される医療学会への出張を命じられた世良が、現地の「ハートセンター」で腕をふるう天城と対面する、という流れ。天城という人物にまつわる謎、約20年前に日本で大ヒットした韓国ドラマ「冬のソナタ」のヒロインを務めたチェ・ジウの出演、鮮やか過ぎる天城の心臓手術など見せ場が相次いだが、視聴者は意外なところに関心を寄せている。

 前出の放送ライターがこう話す。

「それは二宮と共演者の身長の差です。竹内は185センチ、日本のドラマ初出演となった韓国の若手俳優キム・ムジュンは182センチ、チェ・ジウも174センチと高身長です。一方、二宮は公称168センチ。第1話では、心臓に重い疾患がある韓国人医師でチェーンレストラン経営者(チェ・ジウ)の手術をルーレットで決めるという残酷なシーンなどで、二宮が高身長組と絡みましたが、特に違和感はなかったですね。世良と天城が初対面を果たすシーンこそ、二宮はソファに着席していて身長差が分からないようになっていましたが、その後、立ち上がると竹内、キム・ムジュンと普通に並んで会話をしていました」

 これまでヒットした医療ドラマを振り返ると、男性ではフジテレビ系「救命病棟24時」(1999年)の江口洋介、同「医龍-Team Medical Dragon-」(2014年)の坂口憲二、TBS系「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(21年)の鈴木亮平、女性ではテレビ朝日系「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(2012年〜)の米倉涼子など、主演はいずれも体格が大柄というイメージがある。それは外科医の能力が体力と密接に結びついているという制作サイドの固定観念があるからだ。

下からねっとりと見上げる

 演劇に詳しい文化部記者はこう指摘する。

「俳優の身長が大きく異なると、舞台上や画面での見栄え、特にカメラアングルや舞台セットのデザインに影響を与える可能性がありますが、身長の違いを活かす演出も多いです。よくある手法は身長の高低差を意図的に利用してキャラクター間の力関係や権威を表現すること。たとえば、高い身長のキャラクターは権威や支配を表し、低い身長のキャラクターは服従や劣位を表すことがあります」

 続けてこうも指摘する。

「『ブラックペアン2』はこれを逆手にとっていますね。二宮と竹内が廊下で会話する場面では、17センチの高低差をそのまま映し出すなど全くごまかしていません。むしろ、二宮が竹内を下からねっとりと見上げることで、気味の悪さを演技に吹き込んでいました。つまり、身長差を逆の手法でうまく使っているのです。今後、日本に帰った天城(二宮)が、医療界に巣くう既存の権威を下から値踏みするように覗き込むシーンが、何回も登場するでしょう」

 確かに、これまでの医療ドラマを振り返ると、身長に関する社会的なステレオタイプが反映されている傾向はありそうだ。天才医師は高身長であることが多く、コメディリリーフ(滑稽な登場人物)やサイドキック(ヒーローと一緒に行動する相棒や親友)は身長が低い、あるいは小太りという印象を持つ視聴者は多いのではないか。これまでのTBSドラマも例外ではないだろう。そういう意味でも「ブラックペアン2」はステレオタイプをひっくり返す意欲作ともいえる。

「同じ天才外科医でも大汗をかきながら危険な場所に突っ込んでいく医師という描き方ではなく、むしろ逆に汗ひとつかかず、涼しい顔をして悪魔のギャンブルを持ちかけ、しかも難易度の超高い心臓手術を軽々とこなしてしまうのが『ブラックペアン2』の主人公像です。まるで前期クールの長谷川博己主演『アンチヒーロー』を引き継いでいるようですね」(前出の放送ライター)

 第1話では悪魔のような天城が結局、チェ・ジウ演じる患者の命を鮮やかな手術で救った。“アンチドクター”の活躍が今後も期待できそうだ。

デイリー新潮編集部