麻布台ヒルズ

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 高さも値段も日本一の麻布台ヒルズがグランドオープンしてから半年が過ぎた。メイン棟となる森JPタワー上層階のアマンレジデンス東京は、最高で300億円といわれる分譲住戸だ。では、オフィス階にはどんな企業が入っているのだろうか。

【写真をみる】「即入居可」の文字も…賃貸サイトに掲載されている「麻布台ヒルズ」

入居企業はまだ17社

「オフィスビルを建てる際、大事なのはキーテナントの誘致です。都心の大型ビルであれば米系金融機関やグーグル、アップルのような外資系のハイテク企業に入ってほしい。有名企業が入っていれば、賃料を高くできるからです。全体の4分の1ほどをキーテナントが占め、そのネームバリューを使って残りのフロアを埋めるのが理想的です」(不動産コンサルタントの森島義博氏)

 ならばと、久しぶりに森JPタワーを見に行く。

麻布台ヒルズ

 地下鉄の駅から坂を上がると天を突くような銀色のビル。隣の「レジデンスB」(タワマン棟)はまだ建設中だ。メイン棟の入口には入居企業の名前がある。6月下旬の時点で17社。看板を見てすぐ分かったのは、韓国系のマンガ配信会社、慶應大学病院予防医療センター、オランダ系の電機メーカー、NTTドコモの関連会社ぐらいか。フロア面積が約20万平方メートルもあるから、埋めるのは簡単ではないのだろう。日が暮れると、アマンレジデンス東京のフロアが煌々と光っているのに対して、その下は暗い。

「即入居可」のオフィスも

 実際、オフィス賃貸サイトを見ると、森JPタワーのテナント募集広告が50階ぐらいまでずらりと出ており、「即入居可」もある。ちょっと心配になってくる。

 そこで、ビルのデベロッパーである森ビルに聞いてみると、

「国内外・業種を問わずに非常に多くの企業からお問い合わせを頂いております。現時点で既に3分の2までめどが立っており、年末までに満床を目指しております」(森ビル広報室)

 と余裕の返事。だが、ライバルも迫ってきている。2028年には三菱地所が東京駅の近くに「Torch Tower」を竣工させる予定で、こちらは390メートルと森JPタワーより60メートル高い。旧財閥のコネを使ったのか、三菱系の大手企業がさっそく入居予定だという。

 もちろん、麻布台ヒルズだってフロア満杯までもう少し。元手があるなら入居したいぞ。

「週刊新潮」2024年7月4日号 掲載