「他のホストの客に手を出す」のは重罪! 100万円以上の罰金も… 歌舞伎町に″爆弾″が増加中

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歌舞伎町でいま、″爆弾″が横行していることをご存じだろうか。

″爆弾″とは、ホストクラブでのさまざまな禁止行為全般を指し、たとえば「顧客の職業についてズケズケと質問する」といった小さなものから、他のホストクラブの従業員との殴り合いといった警察沙汰に至るようなものまで多種多様。

要は、「他のホスト及び店舗の売り上げを下げる可能性のある行為」は絶対に禁じられているわけだが、なかでも重罪とされているのが、「自分と同じ店の他のホストの客に手を出す」ことだという。

「担当ホストが忙しかったりすると、先にヘルプのホストがアフターについてきてくれて、担当不在のまま長時間二人で飲むことがよくあるんです。次第に肉体関係も持つようになっちゃって……」

アミカ(仮名・23)は数年前、ヘルプのホストだったショウマ(仮名・25)と恋に落ちた。以降、店では担当ホストを指名しながら、店外ではショウマとデートを重ねることが増えたという。当然、この行為は″爆弾″に該当する。

「担当も好きだけど、いつも相談に乗ってくれて私の味方をしてくれるヘルプのことが本当に好きになっちゃった。不倫しているみたいなスリルがありましたね。担当を裏切っている罪悪感が、なぜか心地良かったんです」(前出・アミカ)

アミカのこの行為が担当ホストや店にバレてしまえば、ショウマには100万円以上の罰金が科される。

「私もバカだったから、『100万円のリスクを背負ってでも私を手放したくないんだ……』って感動していました。でも、その後ショウマが他の店に移籍したのですぐに指名したんですけど、そんなにハマれなくて。結局、浮気するスリルが好きなだけだったのかなぁって」(同前)

ヘルプとの肉体関係はもちろん、基本的には担当ホスト以外のキャストと連絡を取ることすら″爆弾″だ。あまりにひどい場合はクビになるが、罰金だけを取って在籍を許す場合も。

「すごく信頼していた部下が、俺のエース客に手を出したんですよ。ホント、男も女も信用できないなーって改めて思いました。でも、そいつはヘルプとしてはすごく優秀なので、仕方なく罰金を減額して店に残すことにしました。ホストも人手不足で……」(シン・仮名・25)

最近では、″爆弾″を逆手に取り、あえてヘルプと自分の客を近づかせるツワモノまで現れた。

「俺は自分の客に枕営業をしたくなかったんで、ヘルプに抱かせてました。″爆弾″でしたけど、担当の僕が許しているんで大丈夫です」(マサキ・仮名・29)

「頂き女子りりちゃん」問題の影響でホスト業界に一層のコンプライアンスが求められるようになった昨今において、 ″爆弾″行為の横行が経営陣の頭を悩ませていることは想像に難くない。

「私が最近通っているホストクラブでは、初回入店時に自分のフルネームを記入させられたり、昼職の子は社員証を提示させられたりするようになりました。トラブルが起きた際にすぐ対処できるように……なんて説明されて、素直に従ったんです。

でも、指名してるホストが他の客に私の勤務先をバラしているのを目撃しちゃって……。顧客情報の漏洩(ろうえい)も″爆弾″行為だろ! って思っちゃいました。制度が拡充されても、ホスト側のリテラシーが低いままじゃまったく意味がないですよ」(リコ・仮名・24)

ホストにもリテラシーとコンプラが求められる時代が到来した。

『FRIDAY』2024年6月28日号より

取材・文:佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。卒業後はライターとして活動。本連載をまとめた新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中