米大統領選討論会の様子=27日、CNNの米アトランタスタジオ/Will Lanzoni/CNN

(CNN)バイデン大統領とトランプ前米大統領との討論会では、幅広いトピックについて議論が交わされた。

トランプ氏は、バイデン氏在任中の雇用増加はすべてコロナのパンデミック(世界的大流行)によるロックダウンからの「回復」によるものだと主張した。ただし、増加した雇用はすべて「回復」による雇用というわけではなく、人々がみな以前の仕事に戻ったわけではない。

両氏はインフレについて非難の応酬を繰り広げた。バイデン氏は自分が引き継いだ経済に一因があると批判した。これに対しトランプ氏は、バイデン氏が就任した当時、「ほとんどインフレはなかった」と反論した。

トランプ氏は、バイデン氏が実行したアフガニスタンからの米軍撤退を「わが国史上最も恥ずべき日」と断じた。

トランプ氏は自身が当選した場合、中絶薬の入手を阻止しないと述べ、中絶の規制は州が決定すべきだという立場を繰り返し表明した。バイデン氏は中絶を州の裁量に委ねるのは市民権の保護を州に委ねるようなものだと反論した。

バイデン氏はロー対ウェード事件の判例を最高裁が覆したことについて「ひどいこと」だと非難。判例によって医師が「9カ月」の胎児を殺せるようになったとするトランプ氏の主張に「それはまったく事実ではない」と反論した。

バイデン氏は国境問題について、自身がまとめた超党派の国境対策法案が上院で否決されたことを強調。トランプ氏の移民家族を引き離す政策を非難した。トランプ氏は、バイデン氏の移民政策が米国の暴力犯罪の要因であるという以前の主張を繰り返した。

トランプ氏は、同氏の大統領在任中に退役軍人を「バカで負け犬」と呼んだかどうかについてのやりとりの中でバイデン氏の次男であるハンター・バイデン氏を持ち出した。

トランプ氏は2021年年1月6日に発生した連邦議会議事堂の襲撃事件について自身の行動と不作為について問われると、質問をかわそうとした後、「私には実質的に何もすることがなかったのは分かっていた。彼らは私に演説をするように頼んだ」と弁明した。

討論会を終え、民主党議員らは、バイデン氏の討論会でのパフォーマンスに絶望している。一部ではバイデン氏が党の候補者であり続けるべきかどうかという疑問が生じたほどだ。

バイデンは口を開けて何かをじっと見つめるような表情でステージに登場した。口調は途切れ途切れで、時折、考えを最後まで言い終えるのに苦労しているように見えた。民主党が優位に立っている中絶などの問題では譲歩する場面もみられた。

10年以上にわたりあらゆるレベルの選挙活動に携わってきたある人物は「バイデン氏が我々の候補者であるべきだと主張するのは難しい」と漏らした。