「好きすぎて離れられない」…博多ストーカー殺人事件「男が元交際女性へみせた」異常な執着と戦慄言動

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「刺したことは間違いないが待ち伏せはしていません」

世間を震撼させた女性殺害事件の初公判で、被告の男はこう供述し起訴内容の一部を否認した。

6月17日に福岡地裁で開かれた裁判員裁判。殺人やストーカー規制法(禁止命令)違反などに問われているのは、元飲食店従業員・寺内進被告(32)だ。事件が起きたのは昨年1月。寺内被告は持っていた包丁で、元交際相手の会社員・川野美樹さん(当時38)の頭や胸など少なくとも17ヵ所を刺し殺害したとされる。

「検察側は福岡市博多区の路上で、寺内容疑者が川野さんを立って待ち伏せしていたと主張しています。一方の弁護側は待ち伏せを否定。別の用件があって、たまたま川野さんを見つけたと訴えているんです。凶器となった包丁は、護身用に持ち歩いていたと……」(全国紙司法担当記者)

『FRIDAYデジタル』は昨年1月21日に配信した記事で、凄惨なストーカー殺害事件について詳報している。再録し、寺内被告の一方的な思いと戦慄言動を紹介したい(内容は一部修正しています)――。

安室奈美恵に憧れ……

「なんで警察に連絡したんだ。仕事がなくなるだろう!」

激高した男は元交際相手の職場にまで押しかけ、こう怒鳴ったという。

痛ましい事件が起きたのは昨年1月16日夕方6時過ぎ。JR博多駅近くの路上で寺内被告が川野さんをメッタ刺しにしたのだ。頭や胸など刺し傷は十ヵ所以上におよび、死因は失血。殺人の疑いで逮捕されたのが、川野さんの元交際相手だった寺内被告だ。

「寺内被告は川野さんの勤務先近くで待ち伏せしていたようです。防犯カメラには傘をさしながら、博多駅方面に向かって歩く2人の姿が映っていました。歩きながら話し合っているうちに口論に。寺内被告は川野さんを引き倒すと馬乗りになり、何度も執拗に刃物で刺したようです。犯行後は一旦自宅アパートに帰り、血のついた服を着替えると行方をくらませていました。

福岡県警に身柄を確保されたのは2日後の1月18日です。雑踏の中から特定の人物を見つけ出す『見当たり捜査員』が、事件現場から1.5kmほど離れた繁華街・中洲でメガネとマスクで変装した寺内被告を発見。刃物を所持していましたが、任意同行には素直に応じ『刺したことに間違いありません』と犯行を認めていました」(別の社会部記者)

寺内被告は大阪市の出身だ。高校中退後、東京・六本木や大阪・ミナミの飲食店で働き事件の1年ほど前に福岡へ。’22年4月から、中洲のバーでアルバイトとして働き始めたという。バーの常連客だったのが川野さんだ。

「川野さんは、愛知県名古屋市の出身です。10代後半に沖縄に住んでいたことがあるそうで、安室奈美恵さんや『SPEED』などを輩出した『アクターズスクール』に在籍していたとか。安室さんに強い憧れを抱いていたそうです。

福岡に来たのは(事件の)10年ほど前だと聞いています。結婚していましたが、離婚後はシングルマザーとして娘を育てていました。寺内被告とは行きつけのバーで知り合い、’22年春ごろから交際が始まったようです」(同前)

だが、交際当初から寺内被告の拘束が強かったという。

「寺内被告は、かなり嫉妬深い人物のようです。常に川野さんの行動を監視するため、位置情報がわかるスマートフォンのアプリを彼女に利用させていたとか。さらにスマホを取りあげるなどしたため関係が悪化し、’22年秋ごろに川野さんから別れを告げられたと聞いています。川野さんは周囲に『束縛が強くて怖い』と話していたそうです」(別の全国紙記者)

関係解消後も、寺内被告はしつこく川野さんにつきまとう。川野さんは’22年10月に「警告してほしい」と警察に相談。同年11月には寺内被告が川野さんの職場にも現れるようになり、警察はストーカー規制法にもとづく緊急禁止令を出していた。

「警察の警告に対して寺内被告は『もう近づかない』と話していましたが、納得はしていなかったのでしょう。その後も執拗に川野さんへ接触。関係を解消されたため一方的に恨みを募らせ、犯行におよんだとみられます。

寺内被告は、友人に『(川野さんを)好きすぎて離れられない』とも話していたそうです。接触が禁じられた緊急禁止令が出た翌12月には、第三者から届いた絵文字を一方的に川野さんからのメッセージと思い込んでいたとか。警察に対しては、こう語っていたといいます。『自分は(緊急禁止令を)守っているのに相手が連絡をしてきた。自分ばかり悪く言われるのはおかしい』と」(同前)

寺内被告の逆恨みによって命を奪われた川野さん。寺内被告への判決は6月28日に下される予定だ。