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 俳優長谷川博己(47)主演のTBS系日曜劇場「アンチヒーロー」(日曜後9・00)が16日、25分拡大スペシャルで最終回が放送された。

 「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、長谷川演じる“アンチ”な弁護士を通して、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかけた話題作。

 「名前に“色”が入っている登場人物は味方では?」「真犯人は誰?」「裏切り者は?」など毎回さまざまな謎や仕掛けを残し、SNSで考察合戦が繰り広げられた同作。

 「全伏線回収」を掲げた16日の最終話放送後には「すっきりした」「面白かった」「続編が見たい」などネット上には評価する声が多数上がった。

 放送後にはX(旧ツイッター)のトレンドワード20位までに、1位となったタイトル名「アンチヒーロー」のほか、「白木さん」「緑川さん」「長谷川博己」「大島優子」「木村佳乃」の6語が20位までにランクインする注目度の高さを見せた。

 民放ドラマ関係者はこのもり上がりの理由について「緻密な脚本作りがまず挙げられる」と語る。

 今作は4人の脚本家による日本では珍しい共同脚本だった。海外では、2023年に役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した日本・ドイツ合作映画「PERFECT DAYS」が共同脚本の作品。過去には「世界のクロサワ」も共同脚本だったとして知られるが、こちらは同じシーンを複数の脚本家が書くワンシーンごとの“コンペ”のような形だったという。

 「アンチヒーロー」の場合は、飯田和孝プロデューサーによると、4人の脚本家の得意な部分を生かして作り上げたという。2019年公開の映画「七つの会議」や23年同局「VIVANT」などの長ぜりふで力を発揮した李正美氏が今作も長いせりふのシーンを担当。また「2話のようなポップな内容を山本奈奈氏、宮本勇人氏は仕掛けを構築するのが上手、福田哲平氏は構成がうまい」として「うまくパート分けできた」という。

 また、4人の脚本家を含め、飯田氏、ディレクターらスタッフと活発な議論を行い、さまざまな角度からストーリーを確認し、ほころびが出ないような工夫が施された。9話で、桃瀬礼子(吹石一恵)の自宅に赤峰柊斗(北村匠海)が訪れ、真相解明のための資料を持ち帰るシーンでも、当初は資料の量がたくさんだったが、「これまでの流れから明墨がすでにたくさんの資料を受け取っているはず」との声が出て、修正し、桃瀬の日記を託されるという印象的なシーンになっていった。

 ドラマ関係者は「しっかりした脚本と、出演者の演技が支えた。最終回まで早い段階で脚本が仕上がっており、出演者も逆算して演技ができたと聞く。もともと演技のうまいキャストがそろったが、脚本ができていて役作りに生かせたことも大きかったのでは。謎を残す表情、演技なども加わり、視聴者が語りたくなるような作品になった」と指摘する。

 また別の関係者は「謎に対しても、そこにしっかり答えがあった。そういったところも見応えがあった」と話す。

 放送後には「続きが見たい」「もう終わっちゃうのか…」と早くも“ロス”の書き込みも見られた。気になる続編について、飯田プロデューサーは取材に「キャストの皆さんもいい関係性ができあがったという印象を持たれているので、そういった妄想遊びはされていました。例えば、木村佳乃さんは“私、ラブ路線ないのかしら?”なんておっしゃっていました。控え室ではそんな会話をしていますけど、今は特にまったく予定はないですし、そこを僕らが議論する感じでもなく…。ただ、妄想上では“続編決定”みたいな感じにして皆さん楽しんでいました」と話してい。

 今後、続編が作られるのか、期待する声がしばらく続きそうだ。