人々の温かい支援で「音」を獲得した聴覚障害者 中国湖南省

 【新華社長沙5月22日】中国湖南省長沙市にある四方坪夜市で軽食の屋台を営む張永勝(ちょう・えいしょう)さん、湛靖雯(たん・せいぶん)夫婦は聴覚障害者で、夜になり露店街に人々のにぎやかな声が響いていても、張さんたちはジェスチャーや文字入力で顧客とコミュニケーションをとるしかなく、店はひっそりとしているように見える。

 娘の張語涵(ちょう・ごかん)さんも聴覚に障害があり、張さん夫婦は屋台で稼いたお金と親戚や友人の援助を頼りに、娘が2歳の時、左耳に人工内耳を埋め込み、右耳には補聴器を装着した。「人工内耳は高すぎる。私たち夫婦は聞こえなくても構わないが、娘はそうはいかない」と張さんは力を込める。

 今年初め、張さん家族の物語が交流サイト(SNS)で紹介されると、社会各界から関心と激励が寄せられた。1月には心ある人から夫婦に補聴器が贈られ、3月には人工内耳メーカーの支援の下、家族全員が上海で埋め込み手術を受けた。1カ月近く療養した後、術後初めての機器の稼働と調整が行われ、家族はお互いの声を聞いた。5月からは長沙市にあるリハビリセンターが、聴力と言語の訓練を無料で夫婦に提供している。

 音のない世界に別れを告げた張さんは、将来への期待を膨らませている。娘の「指導」の下、夫婦で一歩一歩、言語を習得していくという。

 張さんは、生活が安定したら他の聴覚障害者らをサポートし、世界の美しい音を聞かせたいと話している。(記者/陳振海)