26年前に誘拐された男性、隣家の羊小屋から生きて発見される
アルジェリアで27年前に誘拐された男性が、隣家の羊小屋から生きて見つかった。Mail Onlineなどが報じている。
1998年、17歳だったオマル・ビン・オムランさんは忽然と姿を消した。当時アルジェリアでは激しい内戦が起こっており、家族は政府軍とイスラム反体制派による戦闘に巻き込まれ、殺されたのだろうと考えていたという。
しかし、それから約26年が経った今年5月12日。自宅から200メートルも離れていない隣家でオマルさんが発見された。羊小屋の地面に掘った穴の中に監禁されており、命に別条はないものの、病院に運ばれ心身のケアを受けている。この家に住む61歳の男が犯人と見られており、逃走を図った際に拘束され、当局によってそのまま連行された。
アルジャジーラによると、発見のきっかけとなったのは”内部通報”だったという。容疑者とその兄の間で相続争いが起こったことから、兄がソーシャルメディア上に監禁の事実を暴露。当局が捜査に乗り出したという顛末だった。
オマルさんは救助隊に「遠くに家族の姿を時々見ることができたけれど、彼にかけられた”呪文”のせいで声を出すことができなかった」と語ったと地元メディアは伝えている。モスクに向かう家族の姿を見て、母親が亡くなったことにも気づいていたが、容疑者による監視のために逃げ出すことはできなかったという。
’90年代に始まったアルジェリアの内戦は2002年に終結。だが、激しい戦闘で約20万人が命を落とし、約2万人が誘拐されたとアルジャジーラは伝えている。オマルさんはその犠牲者の1人だと、家族はずっと思い込んでいたそうだ。
羊小屋の干し草の中から助け出されたオマルさんに、家族は歓喜の涙を流しながら抱きついた。オマルさんは最初こそ言葉が出しづらい様子だったそうだが、すぐに兄弟たちの名前を呼んで再会を喜び合ったと、地元紙エル・ハバルが報じている。