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 ◇セ・リーグ 阪神2―4中日(2024年5月14日 豊橋)

 阪神は14日の中日戦に逆転で敗れ、勝った巨人と入れ替わって3日ぶりに首位から陥落した。1点優勢の8回に一挙3失点の暗転。岡田彰布監督(66)は無死二塁からのバント処理でアウトのタイミングだった送球を落球した佐藤輝明内野手(25)の失策を敗因として厳しく指摘し、15日の2軍降格が決まった。代わって渡辺諒内野手(29)が合流する。

 誰もが窮地脱出を確信した大きなアウトを取り逃した。1点優勢の8回無死二塁からの守り。田中のバントは勢いを殺しすぎて捕手前へ。坂本は素早く三塁へ送球した。走者にタッチしやすい低いノーバウンドで、タイミングは完全にアウト。佐藤輝はタッチを焦ったのか、まさかの落球だった。無死一、三塁へ逆に窮地が広がった後、村上が2本の適時打を浴びて逆転。痛恨の失策で勝利へのシナリオが暗転した。

 岡田監督は静かに怒りをにじませた。「うまいことな、バントでいけたと思うたけどな。あれで終わりよ」。決して難しいプレーには見えなかっただけに言葉は厳しかった。「キャッチボールやからな」。村上が今季初登板だった4月2日のDeNA戦でも初回の三ゴロ失策が一挙4失点につながったことがあり、「村上の時、いくつエラーしたんや」と語気を強めた。

 今春キャンプでは特守漬けの日々を過ごしたように常々、長所の打撃ではなく、まずは守備の安定を求めてきた。11日のDeNA戦に続いて出場2試合連続、リーグ最多今季6個目の失策を数えた佐藤輝は「あれは捕らないといけないと思う。僕のミス。それ(タッチにいこうという焦り)はありました」と唇をかんだ。

 2試合ぶりの先発出場で4回に左前打。1点劣勢の6回1死一塁では右中間への二塁打を放ち、一時逆転を呼ぶマルチ安打で奮起しながら、敗戦に直結したミスが豊橋に響かせた快音をかき消した。試合後には、15日の2軍降格が決定。代わって2軍で主に三塁を務めてきた渡辺が昇格する。

 攻撃でも6回の2得点はいずれも内野ゴロによるもの。懸案の3番に2試合連続で近本を起用し、高橋宏に対して昨季6打数3安打の好相性だった前川を6番に置いても活性化はせず、岡田監督は「点取れるようにそないして考えてるわけやから。ある程度(固定した)形つくらなあかんけど。なかなか波に乗り切れんよな」と首をかしげた。豊橋の悪夢で首位から陥落。後味の悪い敗戦を払拭する白星がほしい。

 ▽佐藤輝の前回2軍降格 23年5月19日第3打席から6月16日第2打席にかけて自己最長の94打席連続本塁打なし。6月は月間打率.179まで落ち込み、シーズン4度目の先発落ちだった6月25日DeNA戦の敗戦後に2年ぶりの2軍調整が決定した。降格後は2軍7試合で打率.407。7月7日の復帰予定が固まった後、同4日に右肋骨骨折で離脱した近本に代わり、5日に前倒しで昇格。復帰後はレギュラーシーズン終了まで68試合で打率.293、15本塁打、54打点で挽回。