楠本修二郎・ZEROCO社長

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「人類は220年間にわたって冷蔵か冷凍かの二択しかありませんでした」とZEROCO社長の楠本修二郎氏。食材や加工品を約0度で保管することで、鮮度を保つ保管庫(ZEROCO)を開発。鮮度保持期間が延びれば農業、漁業、畜産業は安定的な値付けができ、物流の納期の問題にもゆとりができ、ドライバー不足にも貢献が可能。さらには飲食店でも鮮度保持期間が伸びることで廃棄ロスも減る。この新たな技術の着想は、日本人の受け継いできた叡智。〝雪下野菜〟にヒントがあった。日本人だけが知っていたそのヒントとは─。


食産業に革命を起こすというZEROCO(保管庫)とは

 ─ 食産業は農業から物流、卸、飲食店と全てバラバラになっているという楠本さんの指摘ですが、ZEROCOがそれをつなぐ役割だと。詳しく聞かせてくれませんか。

 楠本 はい。日本はこれから人口減少が加速していきます。その中で、人が減ってもおいしさをキープして維持発展できるテクノロジーがいりますよね。それがZEROCOという保管庫です。大事なのは、『鮮度保持』なんです。

 ZEROCOは鮮度を保ちながら保存できて、なおかつおいしくする技術です。おいしく保存するための日本人が持っていた知恵は4つの要素があります。

 1つは鮮度保持です。2つ目は熟成です。そして3つ目が発酵、4つ目が乾燥です。

 1つ目の鮮度保持と2つ目の熟成を同時に達成する技術がZEROCOのテクノロジーです。これを「冷蔵庫でもない、冷凍庫でもない、第三の道」という言い方をしています。なぜ第三の道かといいますと、まず、冷蔵庫ができたのは1803年、冷凍庫ができたのは1805年に遡ります。つまり、人類は220年間にわたって冷蔵か冷凍か、この二択で今日まできました。

 ─ 中間がなかったと。

 楠本 ええ。食料とエネルギーの獲得戦争に明け暮れていた人類ですが、エネルギーは水力、風力、原子力に至るまで、イノベーションが起きています。

 しかし食料保存は冷蔵か冷凍しかありません。ZEROCOはこの間の『約0度保管』を可能とする新しい技術です。ですから社名も「0庫」という意味でつけました。この約0度保存は実は概念としてはあったのですが、人類がまだ到達していなかった技術なんです。

 たとえば冷蔵庫や冷凍庫はドアを開けたら急に10度になって、ドアを閉めたらぶんぶんラジエーターが回って今度はマイナスになったりします。

 つまりゼロ度にとどまらずにいったりきたり、プラスマイナスと何度も温度が変化することが食材の細胞に一番良くないのです。

 そこで、われわれは芯温から全体的に温度ムラがないように均一にゼロ度にし、保管庫内環境を徹底的に湿度100%弱にキープするという技術を開発しました。

 ─ この湿度も大事だというのはどう気付いたのですか。

 楠本 湿度100%弱ということは、酸化が起きないということです。水の元素記号、H2OのO(酸素)が、ほかのものと付着することが酸化の原因になります。人間でいうと、年を取るというのは細胞に酸化が起きているのです。細胞を破壊することなく高い鮮度をキープするためには、約0度にすることと、超高湿状態でキープすることだと。実はこのことは昔からの日本人の生活の知恵にヒントがあったのです。


ヒントは雪下野菜にあった

 ─ 具体的にどんな知恵ですか。

 楠本 寒い地域で雪の中に食材を入れて保管するという文化『雪下野菜』です。

 これは私が東北にずっと関わっている中で、農家さんから教えてもらいました。この文化は東北に限らず北海道から北陸も含めて寒い地域ではごく一般的にある文化です。