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『猿の惑星』シリーズ完全新作、『猿の惑星/キングダム』がついに公開を迎えた。本記事掲載時点で米では批評家スコア、観客スコアともに82%と高い数字を記録し、好スタートを切っている。

“完全新作”と言えど、劇中では過去作の設定に深く結びついた物語が展開された。若き猿のノアと秘密を抱えた謎の人間の女性・メイ。壮大な物語の序章を感じさせるようなエンディングを迎えたが、果たして今後の展開やいかに。

本記事ではエンディングを振り返りながら、作品を率いたウェス・ボール監督の考えを紹介し、シリーズの今後を考えてみる。

この記事には、『猿の惑星/キングダム』のネタバレが含まれています。

この記事には、『猿の惑星/キングダム』のネタバレが含まれています。

©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. 『猿の惑星/キングダム』エンディング解説

『猿の惑星/キングダム』では、ワシを扱うことのできるイーグル族の村落が、数世代も前に存在した伝説の猿・シーザーの遺志を継ぐというプロキシマス・シーザー率いる帝国軍によって破壊されてしまう。かろうじて生き延びたイーグル族の若き猿ノアは、奪われた家族や仲間を村へ連れて帰るという亡き父との約束を果たすべく、孤独な旅に出る。

帝国軍の狙いは、たった一つ。ノアたちが“エコー”と呼んでいた人間だった。そのなかでも、プロキシマス・シーザーが求めていたのは、ノアのことを尾けていた女性・メイ/ノヴァ(フレイヤ・アーラン)。メイは、プロキシマスが猿の帝国を築くのに重要なモノを手にいれる方法を知っていたのだ。

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プロキシマス・シーザーの野望に違和感を抱いたノアは、メイに協力することを決意。家族同然の猿・スーナとアナヤの協力を仰ぎ、要塞の裏口までの崖を登る。メイは、自身の目的に必要なハードドライブを手にし、プロキシマスが長い時間をかけてこじ開けようとしていた要塞の正面扉を内側から開く。すると、そこにはプロキシマスの姿。窮地のノアは好意を寄せているスーナを人質に取られ、「お前は猿と人間のどちらを取るんだ?」と迫られる。

ここで、銃声が鳴り響く。スーナを捕らえていた猿に向かって銃を撃ったのは、小銃を隠し持っていたメイだった。メイは、間を置かずして事前に準備していた爆弾を起爆。海水が帝国へ一気に流れ込み、猿たちは一斉に流されてしまう。

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敵猿との戦いに勝利し、なんとか高所までたどり着いたノアだったが、最大の宿敵プロキシマスが立ちはだかる。体力も残り少ないノアはプロキシマスから容赦ない殴打を受け、意識朦朧。しかし、ゆっくりと立ち上がり、旅を始める前は歌うことを拒んでいたワシを呼び寄せるための歌を口ずさむ。すると辺りを飛んでいたワシの群れがプロキシマスめがけて次々と突っ込み、崖から突き落とした。暴君の野望を打ち砕いたノアは仲間たちを故郷へ連れて帰り、オランウータンのラカから教わった教訓、「猿、一緒、強い(Apes Together Strong)」を胸に、故郷の再建を始めるのだった。

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同じく望みを叶えたメイは、要塞から取り出したハードドライブを軍事基地のような隔離施設で生活していた人間たちに手渡す。どうやらそれは、別の遠く離れた場所で暮らす人間たちと交信するために必要だったようだ。

劇中ラスト、ノアはお別れを言いにきたメイに「猿と人間は本当に共存できるのか?」と聞く。これに「分からない」とメイ。ノアはメイが銃を忍ばせていることに気づいていない様子で、ラカから貰った首飾りを渡す。物語は、物思いに耽った様子のノアとメイが静かに空を見上げるところで幕を閉じた。

この記事には、『猿の惑星/キングダム』のネタバレが含まれています。

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プロキシマスによって支配されたキングダムは崩壊し、事態は収拾したものの、新たな壮大な物語の幕開けを告げるようなエンディングとなった。それまで忌み嫌っていた人間の姿を知ったイーグル族の猿たち。そして、メイの活躍により、惑星奪還に大きな前進を見せた人間たち。物語を通して両者の間に起きた変化は、今後どう影響していくのだろうか。

監督を務めたウェス・ボールは、『メイズ・ランナー』3部作を手がけたフィルムメイカー。20世紀スタジオ(旧20世紀フォックス)とは同シリーズからの再タッグとなった。ボール監督が米に語ったところによれば、現時点で今後の計画は存在してないという。一方、「大まかな」アイデアは監督の頭の中に浮かんでいるようだ。

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エンディングでは隔離していた人間たちが登場したが、ボール監督は「クリフハンガーと呼べるかもしれない」と語っている。そのため、監督は同シーンで印象を残そうと、メイからハードドライブを受け取った女性役に、人気ドラマ「セヴェランス」(2022-)や『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)への出演で知られるディーチェン・ラックマンを起用したのだという。

「あの役は彼女に頼みました。たった3ショットですが、観客が今後もっと見たくなるようなキャラクターを設定したかったんです。クリフハンガーと呼べるかもしれないですが、映画のラストは、不思議な方法で次の映画への扉を開くようなものなんです。」

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今後の物語において鍵を握るのは、間違いなくノアとメイだろう。戦いの中で絆を芽生えさせながらも、種族の違いから心を開き切ることはなかった両者。ボール監督はあえて、「グレーな」状況での着地を望んだのだという。

「メイにとってのゴールと探求は、ノアの行き先と同じ場所に行くことで、彼女の旅は、この猿たちを信頼できるかどうかを見極めることなんだと思います。最終的に、彼女は猿たちが自分が思っていたような存在ではないことに気づくのです。ノアとの出会いによって彼女の旅が変わったように、彼の旅もメイとの出会いによって変わっていく。だから僕たちは最終的に、“猿と人間は共存できるのか?”という映画の中心的な問題である、粘着性のあるグレーゾーンに着地させたかったんです。

それは今後の映画を通して続くテーマであり、種族間の平和の可能性があるとすれば、何が起ころうとも、恐らくこのふたりの登場人物の間にあるんだと思います。この物語が満足のいく旅だったと感じられるよう、うまく締めくくることができたと思います。僕たちが前に進む可能性がある以上、探求の余地は多く残されていますよ。」

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映画公開前、ボール監督は米とのインタビューで、本作がシーザーを主人公とする『猿の惑星』トリロジーと1968年公開のシリーズ第1作『猿の惑星』の間の物語であることを明かしていた。今後、物語を進めていく上で、ボール監督の目指す先は1968年のオリジナル版『猿の惑星』だという。同作では、猿に支配された惑星に降り立った宇宙飛行士の大佐が、最終的にその惑星が地球だったことを知る。となると、今後の物語が進むのは……。ボール監督は、こう続けている。

「僕たちはまだ最終的な結末を考えている途中です。自由の女神はいつ爆発するのか?猿はいつ突然、人間に関する知識をすべて消し去るのが最善だと決断するのか?聖なる巻物はいつ登場するのか?ザイアスが話していたことはどうなるのか。こうしたキャラクターたちには夢中になれるものがたくさんあり、とてもワクワクしています。」

『猿の惑星/キングダム』は大ヒット公開中。

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