クレカ枠の拡大でポイントがさらに貯まるって本当!?いまさら聞けない「新NISAのキホン」
クレジットカードやキャッシュレス決済にまつわる疑問や悩みに、“クレカの鉄人”岩田昭男師範が答える連載企画。今回は、最近話題をかっさらっている「新NISA」の基本とクレカの活用方法について解説します。
【第14回】「新NISA」の基本とおトク技が知りたい
【今月の悩める子羊】新谷 東志(あらたに とうじ)
30代のサラリーマン。ちょこちょこと貯金はしているものの、子どもにかかるお金もばかにならず老後を思うと少し不安。「資産形成をしなければ……」と思いつつも仕事に追われ、あと一歩を踏み出せずにいる。
(相談者の要望)
〇新NISA、なぜこんなに話題になっているの?
〇NISAとの違いはなに?
〇クレジットカード払いでポイントが貯まるって本当?
そもそも新NISAとは?
岩田 新NISAについて知りたいというのはおぬしか。
新谷 そうなんです。最近よく「新NISA」の名前を聞くので気になってはいるんですが、投資ってリスクがつきものじゃないですか。
岩田 その気持ちはよくわかる。じゃが、60〜70代になって仕事を引退したとき、ある程度の蓄えがあったほうが何かと安心ではあるな。「ほったらかし投資」という選択肢もあり、いつでもやる方に舵を切れるのが「新NISA」の魅力でもある。
新谷 それじゃあとりあえず、知識だけでも付けておきたいんですが正直全然知らなくて。
岩田 そもそもNISA(少額投資非課税制度)とは、資産運用で得られた利益に対してかかる税金が非課税になる制度のこと。NISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があるんじゃが、それぞれ非課税となる限度額があった。「一般NISA」なら最大600万円、「つみたてNISA」なら最大800万円じゃ。簡単に言うと、この非課税となる限度額が1800万円まで大幅に拡大されたのが「新NISA」なんじゃ。
新谷 かなり上がったんですね! でも、私みたいに積極的に投資しない人には関係なさそうだなぁ。
岩田 それだけではない。これまでは資産運用で得られた利益が非課税になる期間に制限があったが、新NISAではその制限が一切なくなったんじゃ。
新谷 自分が好きなタイミングで投資信託を売却できるってことですね。
岩田 うむ。今回の新NISAではこの変更点が一番の驚きを持って受け入れられとるようじゃな。期限を気にせず、じっくりと資産形成ができるから老後のための資産形成もやりやすくなった。
新谷 そうは言っても、何をどうすればいいのやら……。
岩田 チェックしたいのが金融庁が「つみたて投資枠対象商品届出一覧」で挙げている商品じゃ。これは国が長期投資に適していると認めた商品で、ある程度安定した投資ができると見ていい。
ポイントが貯まる「クレカ積立」に要注目!
新谷 ちなみに、新NISAでクレジットカードって使えるんですか?
岩田 投資信託においては積立投資に限ってクレカで購入することは認められている。
新谷 同じお金を払うならポイントが付いたほうが断然お得ですもんね。
岩田 ただこれには、ひとつ制限があってな。クレジットカードで買えるのは月に5万円までだったんじゃ。
新谷 私なんかだとそれでも十分そうですが……。
岩田 新NISAで配当や売却額が非課税になる「つみたて投資枠」の上限が月10万円に拡大するのに合わせて、金融庁は3月中にも、クレジットカードでの積み立て分の上限を月に10万円までに引き上げる見通し。従来、法律では「毎月10万円まで」という制限だったため、カード会社の決済サイクルにより先月支払い分の引き落としと当月の積み立てが被ってしまうことがあり証券会社は自主的に「月5万円まで」と制限をかけてきた。
しかし、「一回あたりの積み立ては月10万円が限度」と文言が変わることで、名実ともに月に10万円までクレジットカードで投資信託を購入できるようになるんじゃ。セゾン 投信やtsumiki証券、大和コネクト証券がすでに上限を10万円に拡大。また、その他の証券会社も法令改正を待って対応を検討するというところが多いようじゃから、3月以降の各社の動きに注目じゃ。
新谷 クレカで月に10万円分も使えば、ポイントも結構貯まりそうですよね。
岩田 うむ。いま巷で注目されているのがSBI証券と三井住友プラチナプリファードの組み合わせじゃ。この場合、ポイント還元率は5%。SBI証券は現時点では月5万円までクレカで積み立てられるから、年間にすると3万円分のポイントがゲットできる計算になる。
新谷 めちゃくちゃおトクじゃないですか! 人気が出るのも納得です。
岩田 しかし、実はこれには注意が必要。というのも、プラチナプリファードは年会費が3万3000円かかる。このカードをメインにしてその他の買い物でもたくさん使うなら良いんじゃが、単体で見れば実質はマイナスなんじゃ。逆に、還元率が0.5%と控えめに思えても年会費無料で使える三井住友カード(NL)なら年間3000円分のポイントがつく。
また、年会費5500円の三井住友カードゴールド(NL)はクレカ積立の還元率が1%。年間にすると500円のプラスじゃが、年間100万円の利用で年会費5500円の年会費が永年無料になるからこれが適用されれば年間6000円のプラスとなる。
各人のクレジットカードの使い方にもよるし、キャンペーンなどもあるから、どちらがおトクとは一概には言えん。また、もしクレカ積立の上限が10万円に拡大したとしても、今後還元率が下がらないという保証は一切ない。SNSで話題だからといって無闇に選ぶのではなく、長期的かつ現実的な数字としっかり向き合うことが大切じゃ。
「経済圏」による囲い込みを利用すべし! ただし…
新谷 他にも注目の証券会社ってあるんですか? ここでクレジットカードを使うといいよ、というところ。
岩田 ワシがいま注目しとるのは「auカブコム証券」じゃな。「auマネ活プラン」を利用すれば12か月間クレカ積立のポイント還元率が3%にアップし、その後も2%の還元が受けられる。「auマネ活プラン」とはauが最近始めた新しいスマホ料金プランのことでこれを利用すると、auに関係する様々なサービスでポイント還元率がアップするんじゃ。
ただし、特典を最大限利用するには条件もあって、例えば、先ほど紹介した還元率3%は、年会費のかかるau PAY ゴールドカードでの積立が条件となる。
新谷 うーん、ちょっと悩ましいですね。投資信託の話にスマホ料金まで絡んでくることになるとは……。
岩田 最近、スマホのキャリア各社をはじめ多くの企業が自社サービスの利用でおトクを得られる「経済圏」戦略を進めている。もしすでにポイント経済圏を絞っているなら証券会社を選ぶときの決め手にもなるじゃろう。ただし今後、各社のサービスがより複雑化していくことも考えられるし、1%を超えるポイント還元率が何年も安定してそのままという例は正直多くない。
無論、利益が得られればそれが一番なんじゃが投資にはリスクがつきものじゃから、無理のない額で自分のライフスタイルに合ったものをじっくりと吟味してほしい。
・価格などの情報はすべて本稿執筆時のものです。
構成/佐伯尚子 文/鹿野 薫 監修/岩田昭男