74歳・ひとり暮らしの「お金をかけない」インテリア術。ものも思い出も“捨てずに生かす”
画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。小笠原さんの新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社刊)より、こだわりのインテリアについて一部抜粋で紹介します。
手づくりインテリアで暮らしに彩りを
お金をかけずに、今あるもので工夫する、ということに努めてきました。「方丈の庵好み」の私にとって、3DKの部屋は広すぎます。無用の一室を物置にしてしまわないよう、ギャラリー化することにしました。といっても高価なものはなく、珍奇な品々が展示してあります。家族が遺したものも飾りました。
ギャラリーとは、非日常的空間、あるいは別世界的な場だと思っています。この「ワタシギャラリー」に中近東のアイテムが多いのは、現代日本の装飾文化の中で、私がイスラム系にもっとも異国情緒を感じているからです。
アクセサリーも壁に飾れば彩りに
たとえば、エキゾチックでアンティークなブレスレットとイヤリングを組み合わせて壁飾りにしてみました。これらは装身具として買ったというより、美術品として手に入れたものです。
イヤリングの片方は、照明のアクセントに
さらに、イヤリングのもう片方は、照明器具に取りつけるなどしてみました。こういったことは、考えてみれば考えるほど、アイデアは無限に生まれるものです。
大胆な柄のロングスカートは、ベンチソファーとして
また、大胆な刺繍のあるインド製のロングスカートは、ウエスト部分を切り取り脇の縫い目をほどいて、ベンチカバーに用いていますし、着古しのフレアスカートは、ハンガーにかけた洋服カバーになりました。
処分した家具の一部をチェストとして再活用
そんな中での最高傑作は、レースをかけたチェストまがい。じつはこれ、上半分を失ったタンスの引き出しなのです。かつて小さなアパートに越したとき、どこからも運び入れることのできなかった大ダンスの一部を、気前よく処分してしまった後の引き出し部分です。
ケチが売りの自宅には、他に大した家具もなく、どれも古いあり合わせ品ですが、気分に合わせて模様替えができ、好きなように暮らせるのがおひとりさまの特権かもしれませんね。