日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「この結婚自体が若気の至りでした…」と後悔を吐露するのは、紀子さん(仮名・40歳)。結婚直後から妻を求めなくなっていった3歳年下夫に女性の影が…。夫の浮気を見なかったことにして強がっていたという切ない心境を振り返っていただきました。

夫の本性。不相応な高級品を好んで散財

20歳の彼氏と交際してから半年が過ぎ、結婚を真剣に考え始めた頃、突然、妻子持ちであるとカミングアウトをされ、修羅場になったという紀子さん。大事に貯めていた預貯金をすべて慰謝料として支払って、必死の思いで手に入れた結婚生活でしたが、現実は思い描いていたものとは大きくかけ離れたものでした。

「夫と交際中は、『アルバイトのお金はすべて親に管理されていて自分で自由に使えない』と言っていたんです。妻の存在が明らかになってからは、『じつは嫁に全部もっていかれてる』とも言ってました。けれど、結婚して気がついたんです、ものすごくお金にルーズだということを」

昼間の工場での仕事と、夜の焼き鳥屋のアルバイトの収入を合わせて、手取りで20万いくかどうかという夫は、銀行口座にお金が入ると全額下ろして自分の趣味に使い果たしてしまうのでした。ブランドものも大好きで、不相応な高級品を身に着けてばかり。紀子さんの会社の給料から生活費を全額捻出しているにも関わらず、欲しいものが出てくると紀子さんにお金の無心までする始末。

「私は結婚したら夫婦のお財布はひとつという考えでした。私の給料の方が多かったので、多めに負担するとかそういうバランスならまだわかるのですが、自分の給料を全額お小遣いにまわしている夫には腹が立って、新婚時代はよくお金のことでケンカをしました」

元妻の「呪い」が現実のものとなる…

しかも夫は、紀子さんと結婚直後に昼間の工場勤務を辞めてしまい、夜の居酒屋のバイトだけになってしまいました。紀子さんが日中、会社で働いている間はどうしていたのですか? と聞くと、表情を曇らせました。

「掃除とか洗濯とか、家のことをやってくれるという約束だったんです。けれど、だんだん日中、夫が外出している時間が増えていきました。以前、元嫁から言われた『どうせあなたもレスになって、浮気される。私と同じ目に遭う日が来る。覚えておきなさいよ』という言葉がどうしても脳裏にこびりついて。疑いたくないけれど、女なんだろうなって勘づいてはいました」

妻を求めなくなった夫の言い分

そしてよそに女性の影を感じ始めたころから、夫婦生活にも暗雲がたちこめます。

「浮気をしていても、とりあえず家に帰ってくるし、隠し通してくれるならそれでいいかなと思いました。私は夫のことが好きだったし、なんとかしたいという気持ちもあって、2、3か月に1度とか、そのくらいのペースでしたが、寝るときとかにギュって抱き着いたりして、なんとか行為にもち込んだりもしていたんです」と紀子さん。

しかし、そんな涙ぐましい努力をしている妻に対して、夫は信じられないことを言ってきたのです。

「行為が終わったあとのことでした。いきなり『お前としても気持ちよくない。それはお互い一緒でしょ。もうこういうのやめようよ』って。直球です。ビックリして『はぁ?』って聞き返してしまいましたけれど、夫は真面目に言っていて傷つきましたね」

それでも紀子さんが女の存在を問い詰めませんでした。夫婦生活を真正面から拒否するようなことを言われてもめげなかったのには理由があります。

わが子を捨てた夫との温度差。「私は子どもが欲しい」

「私は子どもが欲しかったんです」と話す紀子さん。夫が離婚する前に、元嫁とののしり合いになったとき「人の子なんてかわいくない」と売り言葉に買い言葉で言い放ってしまったものの、わが子を抱きたいという気持ちは強かったそう。

「18歳で出来婚した夫は私との再婚のためにすんなり親権を手放して、その後、養育費などの支払いもしていません。もともと子どもが好きじゃなかったのかな…。結婚するときは『私たちの子どもが欲しいね』って話していたけれど、あれは私に合わせていただけなのかも。レスになったとき、初めて夫の価値観やビジョンが自分とズレていることを思い知らされました」

こうして夫の女性問題とレス、金銭感覚の不一致という深刻な悩みを抱えることになってしまった紀子さん。「子どもが欲しい」という自信の本音とどう向き合っていったのでしょうか。