人生100年時代、第二の人生をガラリと変える人もいます。結婚、子育て、離婚、病気を経て、昨年からスペインへの単身留学を送っている54歳のRitaさん。SNSでも留学生活を紹介し、人気です。今回は、スペインのスーパーマーケットの特徴について教えてくれました。

スペインのスーパーは、入口から出口まで一方通行

スペインには、食糧品・日用品・スキンケア用品など、家庭で必要と思われるものが一気にそろう大型スーパーがいくつもあります。当初、出口から入ろうとして止められたり、レジで戸惑い長蛇の列をつくってしまったり、いかにも不慣れな利用客で迷惑をかけていましたが、最近やっとコツをつかんで波にのれるようになりました。 

【写真】野菜や果物ははかり売りです

入口には、腰高のゲートが設置されていたり、手荷物を預けるロッカーがあります。ロッカーは万引き防止としてカバンを預けるためにありますが、A4サイズが入る程度の一般的なカバンなら、持参したまま入場可能です。
写真のように、ロッカーの下にあるチェーンは、キャスターつきのマイカートを持参した人が繋いでおくものです。店内用の買い物カゴは、手提げタイプは少なくタイヤつきのカートが主流です。なお持参したエコバックに購入前の品物を入れても注意はされず、レジで全商品を出せばとくに問題はありません。

野菜も果物もグラム売り

トマトやリンゴなどは1個単位でグラム購入ができます。はかりに商品を置き、商品プレートに書かれている番号を入力すると、バーコードシールが自動的に印刷されます。そのシールを商品そのものへ貼るか、近くに備えつけられた無料のビニール袋へ貼りレジへ。

品物によっては1〜2kgの袋入りもありますが、基本的には欲しいものを欲しいだけ買えるシステムです。「今バナナが食べたい!」と思うときにも1本だけ購入でき、とても便利に感じています。

箱買いしてもバラ買いしても自由な陳列

缶詰、調味料、菓子類…搬入時の箱の状態で陳列されているお店がほとんどです。たとえば飲み物は6個セットのまま置かれ、来店客がパックを分解して、欲しい本数だけカートに入れられます。
最初は勝手に分解していいのか不安でしたが、皆がビリビリと破る姿を見て一安心。6個すべて購入したい時はそのまま運べて便利です。なお分解した後のゴミは、近くに置いておけば回収され、店舗の清潔感は保たれています。

生ハムカットの実演を目の前で見られる

ずらっと並ぶ生ハムの前で、店員が黙々とスライスする姿が、どのスーパーでも見られます。さすが生ハム生産量世界一のスペイン。スペイン人は年間4〜5kgの生ハムを消費するようで、ぶら下がっている1本約8〜10kgの生ハム半分以上を、1人で1年間に食べていることになります。
生ハムを挟んだサンドイッチ、ワインのお摘み、コース料理…もちろん自宅にも常備され、家庭によりお気に入りの産地や部位が違うとも聞いています。

パンのカット台がある

スペインでいちばんポピュラーなパンはバゲット。ハードタイプのフランスパンで、1本70円前後から購入でき、食パンや菓子パンよりも断然お得です。店舗にもよりますが、大型スーパーでは自由に使えるスライス機があり、どんなパンでも1〜2cmにカットすることが可能。自宅でカットするのはどうしても散らかってしまいますし、すでにカットされているとサンドイッチへの利用や、小分けの冷凍保存もしやすく、私も愛用しています。

オレンジジュースの絞り機がある

ほとんどの店舗に、オレンジジュースの生絞り機があります。オレンジはすでに上の箱へ入っているので、好みの空ボトルを脇から選び、レバーを押すだけです。元々オレンジの水分が多く果物としても大変美味なので、数個分を搾りきった100%のジュースはまさに絶品! 地元の人も次々購入するほどのおいしさです。オレンジの金額にもよりますが、現在1L 4.99ユーロ(798円程)、500ml 2.99ユーロ(478円程)、250ml 1.99ユーロ(318円程)。会計はボトルごとレジへ持参します。

レジコーナーでは瞬発力が問われる

レジでは、自分でベルトコンベアに商品を置き、店員がスキャンした商品はレジの向こう側へ積まれます。袋詰めは自分自身で。詰めている間に会計を言われ、直後に次のお客の商品が同じ場所に迫ってきます。
汁物にビニール…なんて丁寧にしている時間もなく、とにかくその場を早く撤収しなければなりません(レジ横以外に袋詰めできる場所はありません)。

この流れに乗るために、私は今でもレジへ行く前にエコバックをしっかり広げ、支払いカードを手元に準備し、先に詰めたい重い物からベルトコンベアに乗せて準備万端に! 慣れるまでは袋詰めも焦り、支払いも聞き取れず紙幣ばかり出して釣銭があふれ…後ろのお客さんをずっと待たせてしまいました。

なお、ビニール袋は有料で0.3ユーロ前後(48円前後)、レシートも必ず手渡しされます。

スペインのスーパーは日常を楽しめる絶好の場所

マドリードには24時間のスーパーマーケットがいくつかありますが、基本的には9:00頃〜22:00頃までの営業時間で、日曜日はお休みの店舗が多いです。

レジでは「HOLA!(こんにちは)」と必ず挨拶が交わされ、レジ係と顧客が顔見知りだと会話が弾み長話のスタート。それを列に並ぶ人たちはのんびり待つ…という光景も日常茶飯事です。また、袋詰めに戸惑っていると次のお客さんが手伝ってくれたり、商品内容を店員に尋ねるとほかの買物客も集まって、ああだこうだ…と大騒ぎになることも。

私にとってスーパーマーケットは、スペインらしい日常を体験できる絶好の場所。買物がない日でも、ついウロウロしてしまうのは、そんないつものスペインを毎日感じたいからかもしれません。