離婚を経験し、今は小学生のお子さん2人と71.7平米・3DKの団地で暮らしているかさもさん。大量にものを減らしたことで、いつも時間に追われていた生活から、家事も育児もラクにこなせるように変わったと言います。そんなかさもさんが実践する、無理なく不用品を手放すコツや、「持たない暮らし」を続けるために意識していることを紹介します。

ものを減らしたからこそ見えた「理想の暮らし」

私は、片づけられなくて悩んだ日々を乗り越え、すっきり暮らしを手に入れました。
そんな自分の経験をSNSで発信し、最近では片づけの個別サポートという、やりがいのある仕事も始めることができました。
それはすべて「ものを減らしたこと」がきっかけだと考えています。

【写真】洋服も100着→10着に

 

以前は家事や仕事、育児に追われ、いつも余裕がありませんでした。家はものがあふれ、散らかる一方。
私の場合、視覚からの情報量が多いと
「あれもやらなきゃ」
「これもまだできていなかった」
「また子どもが散らかしている…」
と、頭がパニックになってしまうのです。

テレビからは必要のない情報まで流れ込んできて、まるで“ものに責められている”感覚。
そこで2年前に、テレビなど家にあるものの9割を手放し、部屋のカラーを茶と白に絞ることに。すると、頭と心のざわつきがなくなっていきました。

 

家の中に余白が生まれると、心が穏やかになり、今やるべきことに集中できる。
「部屋の乱れは心の乱れ」と言うように、以前の部屋は私の不安定な精神状態そのものだったと気づかされました。

ものと一緒に手放した思考

ものを減らすのと同時に、思考も変わっていったように思います。

 

たとえば洋服。以前は100着以上の服を持っていましたが、今は1年をとおして約10着を着まわしています。
今までの私は「いつも同じ服なんて恥ずかしい」「おしゃれだと思われたい」と、まわりの目ばかりを気にして、洋服という名の“見栄”で武装していたのだと思います。
服を減らしていくうちに、そのことに気がつき、「誰のために生きているんだろう?」と考えるきっかけにもなりました。

人間関係でも、行きたくない集まりに参加したり、他人の顔色をうかがって断れず引き受けたり…いつも疲弊するのは自分。
ほかにも、「思い出だから」と捨てられなかった過去のものに縛られて身動きがとれない。
未来の「いつか使うかも」の不安ばかりを気にして“今”を大事にしていない。

 

そんな負の思考や感情も、ものと一緒に少しずつ手放せていけたのです。
そこから、他人軸ではなく自分軸で物事を考えられるようになっていきました。

好きをあきらめずに「すっきり暮らす」工夫

ミニマリストと聞くと、なにもない洗練された白い部屋をイメージする方が多いのではないでしょうか?

私も、ものを必要最小限まで減らした暮らしを一度試しました。ですが、思い出や趣味のもの、推しグッズなど「好きなもの」は残した方が心の栄養になると気がつきました。
身軽でありながら、好きなものに囲まれた自宅は、私にとってパワースポットです。

好きなアニメのフィギュアは、在宅ワーク中の癒やし。
推しグッズは「棚に収まるくらい」など、量と飾る範囲はマイルールを決めて増えすぎないようにしています。

思い入れのあるスケボーは、自分でスツールにリメイク。
スケボーそのものはもう乗らないけれど、リメイクすれば別の用途で「持っている理由」を与えられます。

たまりがちな子どもの作品。思い入れはありますが、すべてはとっておけない。
わが家では、季節やイベントにまつわる作品とお気に入りの作品は、インテリアとして飾って楽しみます。

自分と家族にとっての不用品を見極め、手放し、“今”を大切にすることで見えてきた自分軸。
ものが減って部屋の余白が増えると不思議と気持ちが前向きになり、新しいことにチャレンジできる余裕と時間も生まれました。