新築住宅では、2年点検までは無料、それ以降は修理にお金がかかってしまうものが結構あります。しかし、住まい手には不具合を洗い出すのはかなりのハードル。そこで、ハウスメーカーの2年点検を前に、家の状態を第三者に診断する、ホームインスペクションを依頼した、日刊住まいライターの事例を紹介します。実際に気づかなかった、補修が必要な箇所が見つかり、無償で直してもらうことができ満足。点検した場所や費用をレポート。

2年点検を前にホームインスペクションを依頼

筆者はハウスメーカーで延床面積38坪、2階建ての家を建てました。妻と子ども2人の4人で暮らしています。気づけばハウスメーカーの2年点検まであとわずか。

筆者が建てたハウスメーカーでは、2年点検がとても重要。建具やクロス、住宅設備など保証期間が2年で切れてしまうものが多いからです。2年を超えての修理は、基本的に有償対応となってしまいます。

「2年点検を前に家の状態をできるだけ把握したい。そして、修理が必要な箇所があれば依頼し、すっきりした気持ちでこれからも住み続けたい」。そんな思いでホームインスペクション(住宅診断)を依頼しました。

 

基礎、屋根裏…家の隅々まで点検を依頼

ホームインスペクションの依頼先探しは。ネットを利用。「(地域名)ホームインスペクション」とネット検索して、最寄りのインスペクション業者を見つけました。そして診断実績や費用も確認し、業者のホームページから申請。

2年点検まで3週間弱と時間がありませんでしたが、業者がテキパキと段取りしてくれて、予定どおり2年点検前に実施することができました。

今回依頼した点検内容は以下のとおりです。

・屋外(基礎、外壁、軒裏、雨どい、バルコニー)
・屋内(床、壁、天井、建具、床下、屋根裏)

写真は屋根裏を診断しているところです。なお、床下と屋根裏は点検口から入って、目視できる範囲に限られます。

今回、調べてみてわかったのは、ホームインスペクションにも、さまざまな種類があること。

・新築工事時に施工不良がないか検査(施工検査)
・完成、引き渡し時に不具合がないか検査(竣工検査)
・中古住宅や自宅の点検、建物調査

筆者の場合は、2年近く住んだ自宅のインスペクションだったので、点検可能な範囲が限られました。

これから家を建てる方は、工事と並行して点検する手もあるかと思います。というのは、筆者のケースのように、住み始めてからでは、基礎の中に通っている鉄筋や、壁に施工された断熱材の様子までは確認できません。

それでも、2年点検を前にホームインスペクションを実施して、よかったと思っています。その理由やかかった費用を紹介しましょう。

ホームインスペクターが1名で来訪。かかった時間は3時間

当日はホームインスペクターが1名で来られ、午前中3時間かけ、家じゅうをくまなくチェック。家を建てて1年半ほどでしたが、補修が必要な箇所がいくつか見つかりました。

たとえば、クロス。これは床と窓枠の間の細いクロス部分ですが、クロスの境目がヨレて汚くなっています。目が届きにくい場所ですが、プロはこのような場所もしっかりとチェックしてくれます。

 

また、建具のチェックも入念でした。こちらは玄関収納と天井の間にあったすき間。頭よりも高い場所にあるすき間で、住んでいてもなかなか気づけません。

このようなすき間があると、建具がゆがんだ状態で組まれている可能性もあるので、ハウスメーカーにしっかりと調べてもらう必要があります。

施主だけだとなかなか気づけないこのような不具合も、プロならしっかり見つけてくれます。ホームインスペクションの大きなメリットだと感じました。

費用は約12万円。詳細報告書を追加で頼んでよかった!

今回ホームインスペクションにかかった費用は、12万1000円(税抜き)でした。内訳は以下のとおりです。

・基本料金:5万5000円
・床下の詳細調査(オプション):3万円
・屋根裏の詳細調査(オプション):2万5000円
・詳細報告書(オプション):8000円
それ以外に、水回りの設備加算が3000円。出張料はありませんでした。

 

上の写真は、オプション費用8000円で作成してもらった詳細報告書の一部です。詳細報告書には、写真つきで各所の点検結果が記載されています。

この詳細報告書を、そのままハウスメーカーのアフター担当の方にお見せしました。報告書をもとに、補修内容を検討してもらえたので、詳細報告書はあってよかったと思います。

点検費用やオプションの内容はホームインスペクション業者によって異なります。あくまで一例ですが、完成宅のホームインスペクションの費用の目安になると思います。

ハウスメーカーの2年点検では、点検員がチェックしてくれるとはいえ、施主から補修箇所を伝えないと、後悔することも多いと聞きます。

そのため、できる限り不具合を洗い出しておきたいですが、素人には難しいもの。住宅診断のプロに、第三者目線で家の状態をしっかり診断してもらうホームインスペクションは、家に長く安心して住み続けるためにもよい選択だったと思っています。